【ボルボ V40 試乗】いかにもプレミアム、スポーツハッチから快適性重視の走りへ…井元康一郎

試乗記 輸入車
ボルボ V40 改良新型
ボルボ V40 改良新型 全 17 枚 拡大写真

ボルボのCセグメントハッチバックモデル『V40』が7月に大幅改良を受けた。内外装のデザイン修正、パワートレイン制御、シャシーチューニング、グレード展開を欧州のものに合わせるなど、変更内容は多岐に及んだ。その改良版を短時間テストドライブしたのでリポートする。

【画像全17枚】

試乗車は豪華装備の「インスクリプション」で、パワートレインは最高出力140kW(190ps)のターボディーゼル「D4」と8速ATの組み合わせ。オプションとして開口面積の大きなグラストップ「パノラマ・ガラスルーフ」が装備されていた。試乗ルートは神奈川西部の真鶴界隈の一般道、および箱根ターンパイク。コンディションはドライ、1名乗車、エアコンAUTO。

2012年のデビューから4年が経ち、モデルライフ後半に差しかかっている『V40』だが、軽量化がクルマづくりのトレンドとなっている今日においては重量過大であることを除けば、古さを感じさせる部分は見当たらない。今回の改良でフロントアイが北欧神話の雷神が持つトールハンマーをモチーフとする最新のボルボのデザイン文法のものに変更されたのをはじめ、いろいろな部分が結構細かくリファインされていたが、スリークで穏やかな全体のイメージはそのままであった。

走らせてみてまず印象的だったのは、キャビンへのエンジンノイズの侵入がいちだんと少なくなったこと。振動も減っていることから、エンジンマウントに何らかの改良が加えられたものと推察された。エンジンと変速機の協調制御もかなりの進歩ぶりで、昨年ディーゼルモデルがデビューした当初と比べて、飛び出しで過剰にトルクがかかることがなくなり、発進がジェントルになった。加速時もドバッとトルクが出るのではなく、シフトアップ後のトルク変動を減らしてつながり感を高める、BMWライクなチューニングとなっていた。

この変更によって、ドライバビリティと実用燃費は少なからず向上した。真鶴道路や周辺の一般道を大人しく走ったときは、特段の注意を払わなくとも平均燃費計は25km/リットル近くまでスルスルと上がっていった。巡航時の速度のバラつきも出にくく、クルーズ感は抜群だった。また、箱根ターンパイクの急登区間でもコントロール性は非常に良く、制御変更によるネガティブ要素は皆無であった。

ボルボのスウェーデン本社は変更に関する技術情報を日本側のボルボ・カー・ジャパンに積極開示しないそうで、スタッフも具体的にチューニングがどう変わったかということは把握できないでいたのだが、昨年6月に奥軽井沢のワインディングロード、白糸ハイランドウェイで乗ったときの印象に照らし合わせてみたかぎり、シャシーチューニングも相当変わったと感じられた。

それまでのV40はロール剛性がきわめて高く、デビュー当初からややマイルド側に振られた昨年のモデルでも相当なスポーティハッチという乗り味。ライバルとの比較で言えば、アウディ『S3』やBMW『1シリーズ Mスポーツ』あたりに相当するような印象だったのだが、今回の改良で一気にコンフォート側に寄せられた感があった。

平地での乗り心地は劇的に向上し、いかにもプレミアムセグメントらしい、滑るような走行フィールであった。一方、改良前のモデルが持ち合わせていた、ワインディングロードでなまじっかなスポーツカーを寄せ付けないほどの驚異的な身のこなしは鳴りを潜めた。個人的には前のチューニングのほうが個性的で好きだったが、快適性重視の顧客にとっては今回の変更は朗報であろう。

今回試乗したインスクリプションはレザーシートが標準装備されていたが、中間グレードの「モメンタム」を見てみたところ、クロスシートは生地の風合い、色合いとも趣味が良く、北欧趣味という点ではその中間グレードが狙い目かもしれない。ちなみに先進安全システムはベースグレードの「キネティック」から最上位まで格差はまったくないそうなので、ベースを安く乗りこなすのもありだろう。パワートレインは年間走行距離が少なく、動力性能もほどほどでいいという顧客にとっては1.5リットルガソリンターボ「T3」+6速ATでも不満はないだろうが、力感を求めるならやはりディーゼルが狙い目であるように思われた。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
おすすめ度:★★★★

《井元康一郎》

井元康一郎

井元康一郎 鹿児島出身。大学卒業後、パイプオルガン奏者、高校教員、娯楽誌記者、経済誌記者などを経て独立。自動車、宇宙航空、電機、化学、映画、音楽、楽器などをフィールドに、取材・執筆活動を行っている。 著書に『プリウスvsインサイト』(小学館)、『レクサス─トヨタは世界的ブランドを打ち出せるのか』(プレジデント社)がある。

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