紀伊山中の「幻の五新線」など、土木遺産に選定

鉄道 テクノロジー
鉄道としては幻に終わった五新線のアーチ橋。2016年度の選奨土木遺産に選ばれた。
鉄道としては幻に終わった五新線のアーチ橋。2016年度の選奨土木遺産に選ばれた。 全 2 枚 拡大写真
土木学会は9月20日、2016年度の「土木学会選奨土木遺産」が決まったと発表した。選定された24件のうち、鉄道関係では「旧国鉄五新線(未成線)鉄道構造物群」などが選ばれた。

「選奨土木遺産」は2000年、土木学会が「土木遺産の顕彰を通じて歴史的土木構造物の保存に資する」ことを目的に設立した認定制度。鉄道関係の構造物は「狩勝峠鉄道施設群」(北海道、2003年)や「梅小路機関車庫」(京都府、2004年)、「今福線のコンクリートアーチ橋群」(島根県、2008年)などが選ばれている。

今回選定された五新線は、和歌山線の五条駅(奈良県五條市)から奈良県南部の山岳地帯を縦断し、紀勢本線の新宮駅(和歌山県新宮市)に至る路線として計画された国鉄線。現在の五條市内である五条~阪本間のみ阪本線として着工した。しかし、過疎地を通る路線のため採算性が危惧され、国鉄は完成した路盤の一部をバス専用道に転用。鉄道としては幻に終わった。

現在は専用道経由のバスが一般道経由に変更されたため使われてないが、トンネルやアーチ橋などの施設はほぼそのまま残っている。土木学会は「紀伊山地を鉄道で貫く大構想に駈けた先人の志を未来に語り継ぎ、沿線住民にも親しまれている貴重な土木遺産」としている。

このほか、鉄道関係で選定された土木遺産は以下の通り。

旧網走線開業時の鉄道施設群(北海道)
磐越西線鉄道施設群(新潟県・福島県)
わたらせ渓谷鐵道関連施設群(群馬県・栃木県)
信濃川千手水力発電所施設群(新潟県) ※国鉄~JR東日本の発電所
向野橋(愛知県) ※トラス桁は京都鉄道(現在の嵯峨野観光線)保津川橋りょうからの転用
名古屋港跳上橋(愛知県) ※廃止された貨物線の橋りょう

《草町義和》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 「思ったよりだいぶ安い」トヨタ『GRヤリス』に新登場、エアロパフォーマンスパッケージに絶賛の声
  2. 「TWIN TURBOのロゴ懐かしい!」Z32ファン感涙、レトロ感あふれる新型『フェアレディZ』が話題に
  3. レクサス『IS』改良新型、米国はハイブリッドなし..V6ガソリンだけを設定
  4. メルセデスベンツ『Cクラス』次期型を予告、光る大型グリル採用…初のEVも設定へ
  5. ホンダ初のフルサイズ電動バイク『WN7』発表、航続130km…2026年欧州発売へ
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  3. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. 「ハンズオフ」は本当に必要なのか? 高速での手離し運転を実現したホンダ『アコード』を試乗して感じた「意識の変化」
ランキングをもっと見る