【ダイハツ ムーヴキャンバス 試乗】こりゃ売れそうな気配である…中村孝仁

試乗記 国産車
ダイハツ ムーヴキャンバス
ダイハツ ムーヴキャンバス 全 20 枚 拡大写真

“canvas”即ち画布あるいは帆布を意味するキャンバスから、あれこれできるという意味の“can”とバス(bus)を組み合わせた造語の名称を持つダイハツ『ムーヴキャンバス』。その名前からもミニバスを意識した背景が読み取れる。

【画像全20枚】

敢えて似てる似てない論議は避けよう。しかし、現実の量産車として先に出してきているわけだから、要はモノにしてしまった方が勝ち。このクルマ、なかなか魅力的なエクステリアデザインを持つ。新感覚のスタイルワゴンというジャンルなのだそうで、ターゲットにしたのは未婚女性。理由は近年この市場でダイハツが苦戦しているからだそうである。しかし、考えるに、敢えて未婚女性がメインターゲットだとは言うが、これ、男性が使ってもなかなか居心地が良くて、お洒落な印象が強い。

インテリアもエクステリアも可愛い系匂いがプンプンするが、元に戻って、元々は某ドイツメーカーがこれと同じようなコンセプトを市販しようとしていた。そしてそのコンセプトは男性から大きな関心が寄せられていたから、サイズこそ違えどこのデザインに興味を持つ男性は多いと思うわけである。

知らなかったが両側スライドドアというのはクラス初(編集部註:「ムーヴ」クラス。背高系「タント」などでは採用済み)だそうである。有りそうでなかったということ。それにパノラマモニターと称する、前後左右、それに俯瞰で見ることのできるカメラ。駐車の際などに威力を発揮するあれだが、ダイハツでは初採用だそうだ。

基本骨格及びドライブトレーンはムーヴからの移植。全く同じではないという説明だが、要するにムーヴのコンポーネンツを使って作り上げたクルマである。ただし、女性がターゲットなのでエンジンもNAのみでターボの設定がない。それゆえ価格的にも安く、4WDの最上級バーションでも166万8600円である。

試乗したのは最上級モデルのFWD仕様モデル。52ps、60Nmというパフォーマンスを持つ、気筒あたり4バルブの直列3気筒にCVTを組み合わせたモデルである。驚いたことに、カタログを見ても諸元表以外にエンジンの記載があるのは、エコ&ポケッテリアとタイトルされたページにほんの数行のみ。メカニズムの存在は少なくともカタログからは可能な限り消し去られている。メーカー側に言わせても、たとえ記述したところで何を意味するのか分からず、むしろ使い勝手を列記した方がわかり易いというのがその理由。自動車の選び方も変わったもんだと思う。

とことん女性をターゲットにした感がアリアリで、CVTは俊敏なスロットル操作には付いてこず、アクセルをグッと一気に踏んでも、加速は一瞬タメを作ってその後にドカンと来る。逆にゆっくりと発進させてやれば非常にリニアに加速するし、パーシャルからもアクセル操作をゆっくりしてやればちゃんとリニアな加速が得られるようになっているから、要は焦らず慌てず急がず、ドンと構えて運転してやれば実にスムーズに走るというわけである。決して急いではいけない。おそらくCVTのプーリーを押す油圧が低いのだと思う。

一方で乗り心地はこの種のクルマとしては大変に優れている。両側スライドドアでも剛性は十分担保され、骨格が緩いと感じることはなかった。そして使い勝手。これは実に優れる。至る所に物入れが存在し、リアシート下の置き楽ボックスはアイデアものだ。強いて言えば最低でもA4サイズのコンピューターを入れたカバンでも置ければ文句なしだが、微妙に入らなそうである。

男性目線から話をするとやはりアンダーパワーは否めない。これでターボ仕様でも出てくれれば最高だ。また、一時のように闇雲に最高の燃費だけを競うことからも解放されていて、そこを謳い文句にしないのもちゃんとしたクルマを作れるようになる要因。1655mmという全高も、ちょうどいい。というわけでこのクルマ、女性だけでなく男性目線でも悪くない。こりゃ売れそうな気配である。

■5つ星評価
パッケージング ★★★★★
インテリア居住性 ★★★★★
パワーソース ★★★
フットワーク ★★★
おすすめ度 ★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来38年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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