【BMW 225xe アクティブツアラー 試乗 】PHVエントリーモデルとして必要十分な資質…会田肇

試乗記 輸入車
BMW 225xeアクティブ ツアラー
BMW 225xeアクティブ ツアラー 全 8 枚 拡大写真

FFをベースとしたBMW『2シリーズ』に、2016年1月、新たな選択肢として加えられたのが『225xe アクティブツアラー』だ。一見してFFモデルと大差ない外観だが、駆動系には「BMW i」の流れを汲むPHEVとしてのパワーユニットを備える。その走りを検証した。

FFの2シリーズは、ミニバン的な要素を持つBMWの新たなカテゴリーとして誕生した。驚くのはその多彩なパワーユニットだ。導入当初はガソリン車のみだったが、その後クリーンディーゼルエンジンを搭載した「218d」を追加。そして、このPHEVの投入することで3タイプのパワーユニットをラインナップすることとなった。こうも相次いで最先端技術のパワーユニットを投入するのも、いかにBMWがこのジャンルを重視しているかがうかがい知れるというものだろう。

ただ、冒頭でも述べたように、外観からはその違いがほとんどわからない。PHEVの場合、せいぜいフロントフェンダー左脇に充電口が設置されているのを見て、この車がPHEVであることを認識できるぐらいだ。日本車ならグリルぐらいは変えるところなのだろうが、欧州車は概ねあまりそのような手法は採らない。好みの問題でもあるのだが、ガソリン車に比べて100万円近くも高いわけで、個人的にはその分の違いは打ち出して欲しかったようにも思う。

しかし、走り出せばそんな思いが吹き飛んでしまうほど225xe アクティブツアラーは軽快な動きを見せる。パワーユニットは最高出力100kW(136ps)の1.5リットル直3ターボエンジンと、最高出力65kW(88ps)の電気モーターの組み合わせることで、システム・トータル最高出力は165kW(224ps)ものビッグパワーを発揮。加えて、PHEVが採用する4WDエレクトリック「xDrive」が最適化したトラクションにより、どこから踏み込んでも常に安定した動きを発揮するのだ。

加えて3種類の作動モードを組み合わせることで、走行状況に応じた自動切り替えと、ドライバーの任意選択の両方により、FF/FR/4WDの3種類の駆動方式を堪能できる。その作動状況は8.8インチのディスプレイ内で確認でき、ワンタッチでその違いを体感できるようになっている。通常はデフォルトの「AUTO eDrive」モードに設定しておけばよく、モーターとエンジンをバランスよく配分してくれる。このモードでもおおよそ80km/hぐらいまではモーターのみでの走行も可能だ。

一方で完全なEV走行とするには「MAX eDrive」モードを選ぶ。バッテリーが充電してあれば後輪駆動として最高で125km/hまでEVとして走れるようになる。モーターならではのズ太いトルクが発進時から感じられ、これが高速域まで続く。この走りを体感したらEVでずっと走りたくなってしまうほどだ。しかし、現実はそうはいかない。このモードで楽しく走り込めば、みるみるバッテリー残量は減っていき、気がつけばガソリンエンジンで走るようになってしまう。

また、バッテリーの充電残量を一定量保つのであれば「SAVE BATTERY」モードを使う。このモードではバッテリー残量は常に半分程度になるようガソリンエンジンが動作するが、マニュアル操作で最大80%まで充電を回復させることはできるようだ。

個人的にはEVモードでのスムーズで快適な走りが頭から離れないが、それを実現するには課程での充電は欠かせない。ガソリンエンジンで充電すればいいという声も出そうだが、「SAVE BATTERY」モードでの走行を強いられるわけで、個人的にはこれが結構ストレスを感じる。エンジンでの走行ではやや振動も大きくなり、EVモードとの比較では結構な差を感じるからだ。

とはいえ、全体としてのバランスはかなり優れている。特に4WDエレクトリック「xDrive」で走る時の力強さはファミリーカーの域を超えている。カーゴスペースはバッテリーを乗せたせいで若干犠牲にはなっているけれど、実用上の広さは十分に確保。扱いやすさも含め、PHVのエントリーモデルとして十分な資質を備えていると思う。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

会田肇|AJAJ会員
1956年・茨城県生まれ。明治大学政経学部卒。大学卒業後、自動車専門誌の編集部に所属し、1986年よりフリーランスとして独立。主としてカーナビゲーションやITS分野で執筆活動を展開し、それに伴って新型車の試乗もこなす。 

《会田肇》

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