【ダイハツ ムーヴキャンバス 試乗】女性だけのものにするのはもったいない…会田肇

試乗記 国産車
最上位グレードのダイハツ「ムーヴキャンバス」G“メイクアップ SA II”(2WD)
最上位グレードのダイハツ「ムーヴキャンバス」G“メイクアップ SA II”(2WD) 全 20 枚 拡大写真

ハイルーフ車はたくさんあるけれど、背が高過ぎて何となく生活じみている。もっと洒落た雰囲気のスライドドア付きモデルが欲しい。そんなユーザーの声に応えて登場した“新感覚スタイルワゴン”がダイハツ『ムーヴキャンバス』だ。

【画像全20枚】

ライトブルーとホワイトの2トーンカラーに身を纏ったボディは、おそらく多くの人があるクルマを連想するだろう。かく言う私もその一人。でも、良いモノを現代流にアレンジして世にデビューさせることも重要と考える。その意味でキャンバスは実に良くできた“新感覚スタイルワゴン”に仕上がったと思う。言い換えれば、ターゲットにしている30~40代の未婚の女性ユーザーだけに使わせておくには、あまりにもったいないと思えるほどの出来映えだったのだ。

まずデザイン。外観も内装も実に洒落ている。丸みを帯びたデザインは単に可愛いというだけでなく、しっかりとした質感を感じさせるもの。車高と車幅のバランスもとてもよく、随所に施されるメッキパーツもチープ感など一切感じさせない。内装は外装とのコーディネイトしたのも選べるし、メーターパネルは大きくとても見やすい。インテリアカラーもミント、ピンク、ショコラブラウンと3色が用意されている。

スライドドアの使い勝手も良好で、タントのようにピラーレスとはなっていないものの、開口部も十分で乗り降りはとても楽だ。特に運転席から回り込まずに荷物が出し入れできる快適さは一度味わってしまうと手放せない便利さだ。惜しいのは内装の仕上がり具合とカーナビのデザインがミスマッチと思われること。エアコンの操作パネルの文字がスッキリと抜けていないのも個人的には気になる部分だ。

リアシート下の収納式ボックス「置き楽ボックス」もよく考えられている。スーパーなどで買い物をした荷物をフロアに直置きさせないためのもので、女性ユーザー目線で考えられた装備と言える。しかも、これを組み込んでもリアシートはきちんとスライドする。このこだわりはたいしたものだ。

一方の走り。正直言えば軽快さはない。とくにパワースライドドアを左右に搭載したこともあって、車両重量は900kgを超え、4WD車に至っては970kgと1tに迫る。この重量でノンターボの組み合わせはパワー不足になるのは自明の理。しかし、キャンバスではアクセルを踏み込んだときのリニア感を高めた。アクセルをギュッと踏み込まず、緩やかに踏んでいくと期待通りに車速が上がっていく。パーシャルからの踏み込みもゆっくり踏めばリニアか加速となり、これは現行ムーヴよりもずっと自然なフィーリングだ。

そして何より気に入ったのが乗り心地。車体剛性も高められたこともあり、市街地の段差にもしっかりとした乗り味を示し、軽乗用車にありがちなピュコピョコとした動きはまるで感じない。おそらく車両重量の重さが功を奏していると思われるが、これならどうして『タント』ができなかったのかと思うほど、落ち着きのある乗り味が楽しめる。

絶対的なパワーとなれば物足りないと思うだろう。しかし、市街地での使いやすさを重視すれば十分な走りとなるし、何よりも乗り心地の良さはおそらく軽乗用車の中ではトップクラスと言っても過言ではない。価格もノンターボということもあって、最上位モデルでも2WD車なら154万4400円と十分にお買い得。女性だけでなく男性ユーザーにもお勧めの一台である。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

会田肇|AJAJ会員
1956年・茨城県生まれ。明治大学政経学部卒。大学卒業後、自動車専門誌の編集部に所属し、1986年よりフリーランスとして独立。主としてカーナビゲーションやITS分野で執筆活動を展開し、それに伴って新型車の試乗もこなす。 

《会田肇》

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