【テイン ストリートベイシスZ&アドバンスZ 試乗】価格競争力さらにアップ、ハイスペック車高調のスタンダードへ

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テイン ストリートアドバンスZ を装着したトヨタ86
テイン ストリートアドバンスZ を装着したトヨタ86 全 26 枚 拡大写真

テインは2017年1月より、4種の新製品を発売する。そのなかでネジ式の車高調整機構を持つベーシックモデルとして登場したのが「ストリートベイシスZ」と「ストリートアドバンスZ」だ。

従来タイプは分解可能な構造で、オーバーホールが可能だったが、今回の2モデルは非分解タイプのシールド構造を採用。この非分解タイプとしたのは製造工程を簡略化して価格を抑えることが目的。一般的な車高調ダンパーは右肩下がりで市場平均価格が下がってきていて、ライバルのなかで競争力をつけるのが目的。減衰力固定タイプとなる「ストリートベイシスZ」は5万8000~7万7000円、減衰力調整式の「ストリートアドバンス」は6万8000~8万70000円が販売予価(一部特殊タイプを除く)。

オーバーホールというとコストを抑えられそうなイメージがあるが、オーバーホールの基本料金、多くの場合同時交換となるピストンロッドのパーツ代に加え、オーバーホール中にクルマが動けるようにするには、ノーマルダンパーなどに1度戻す必要があるため、脱着工賃が2回分必要でこれらを合計するとかなり高価となってしまう。今回の「ストリートベイシスZ」、「ストリートアドバンスZ」では、ほぼそのオーバーホール費用で買い直しができてしまうことを目指した価格設定を行っている。

最初に試乗したのは「ストリートアドバンスZ」を装着したトヨタ『ヴォクシーZS』。スプリングは純正よりやや固め(F2.7kg/mm→4.0kg/mm、R5.6kg/mm→6.0kg/mm)のスプリングがチョイスされていた。タイヤはノーマルの205/60R16に対し215/45R18を装着、ブランドはBSのポテンザ・アドレナリンRE003。

タイヤの設定を見るとけっこう過敏でビシビシした走りをしそうな印象だが、これがビックリするぐらいにマイルドで素直な味付け。ファミリー系ミニバンなので、あまり固め過ぎると家族から苦情が来てしまうが、「ストリートアドバンスZ」をもっとも柔らかいセッティングで乗れば苦情どころか、乗り心地がよくなったという印象になるだろう。しかもハンドリングは正確で、コーナーでの腰砕け感も解消されている。

「ストリートベイシスZ」を装着した『プリウス』はヴォクシーよりもタイヤサイズの変更幅が大きく195/65R15から225/40R18になっていた。組み合わされたスプリングは、F2.2kg/mm→4.0kg/mm、R3.0kg/mm→4.7kg/mm。リヤを柔らかめにしていることもあり乗り心地は損なわれていない。とはいえスプリングレートをアップしているにも関わらず、乗り心地を確保しているのはダンパーの初期の動きがよく、それでいて減衰力はしっかりと確保しているからだろう。走りがシャンとして、ハンドリングの正確さが向上している印象だ。

スポーツモデルとなる『86』も「ストリートアドバンスZ」を装着。タイヤは1サイズアップで、215/45R17→225/40R18。スプリングはF2.6kg/mm→4.0kg/mm、R3.4kg/mm→5.0kg/mm。前後の引き締まり感が一層高まり、嫌味のある乗り味が上手に排除されている。クルマとしての素性もあり、減衰力を調整した際の性格の変化が楽しめるのが86と「ストリートアドバンスZ」の組み合わせ。柔らかいセッティングを選べば、長距離ドライブは純正ダンパー装着状態よりも楽にこなせそう。さらに固めのセッティングにすれば、アクティブにクルマを動かせるだろう。

今回はヴォクシーと86に車内から減衰力の調整が可能な「EDFC ACTIVE PRO」が装着されていた。EDFC ACTIVE PROは電動モーターで減衰力を調整するのだが、その作動音は若干大きめ。コンフォート系モデルにEDFC ACTIVE PROを装着する際は、走りながらリアルタイムで減衰力が変更される「オートモード」は選ばず、マニュアルで調整できるようにしておいたほうがいいだろう。

「ストリートアドバンスZ」、「ストリートベイシスZ」のどちらも、3年または6万kmの固着保証という長期保証がつけられている。アフターパーツでこうした長期保証がつけられるのは珍しいこと。テインの製品に対する自信を感じ取ることができる。

《諸星陽一》

諸星陽一

自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

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