チケットレス・サービスが生んだ“搭乗手続きミス”…全日空

航空 企業動向
国交省から厳重注意を受ける全日空・内薗幸一副社長
国交省から厳重注意を受ける全日空・内薗幸一副社長 全 1 枚 拡大写真

9月30日、14時10分発のANA256便で起きた定員オーバー。定員405人の「B777-200」に全日空は、なぜ406人の乗客を乗せてしまったのか。

誤りは、同社の提供する国内線チケットレスサービス「スキップサービス」で起きた。06年に始まったインターネット上で予約・購入・座席指定まで可能にするサービスだ。

乗客は発行された2次元バーコードを端末に読み込んだり、プリントアウトして、持込荷物を検査する保安検査場にあるANA専用の通過器にタッチするだけで搭乗ゲートまで進める。機内に入るまでには搭乗ゲートで、もう一度同じようにデータを照合させなければならないが、スマートフォンからタブレットに端末を変えるなどしても、何度でも呼び出すことができる。

ところが「同時に予約・発券した2人連れのご家族が、誤って2人様とも携帯端末に同じ二次元バーコードをダウンロードした」(安全推進センター)。

同社によると、家族連れは40代と10代後半の父子で、父親が自身のバーコードを使って保安検査場を通過した後、子供が父親のバーコードを使って通過を試みた。また、搭乗ゲートでは子供が先に、父親が続いて通過しようとした。データは父子の区別ができないので、ともに同一人物が通過したと判断した。

「保安検査場ではエラーを示す用紙が出力されたが、保安検査員が適切な手順によらず、(個人的判断で)搭乗手続き済みの二度かざしと判断し、保安検査を実施して通過させた。また、搭乗ゲートでもエラーが表示されたが、地上係員は二度かざしと判断してしまった」(前同)

一方、空席待ちカウンターでは、子供の搭乗がなかったと判断。空席を別の乗客に案内したため、子供の予約席と空席待ちが重なって、結果的に1人の定員オーバーとなった。

同社は担当者の人的ミスとして、今後は厳格な運用で未然防止を表明するが、懸念は払拭されるだろうか。256便の場合は、座る席がなく子供の代わりに立っていた父親を客室乗務員が発見。離陸を見合わせて、47分遅れで再出発した。仮に空席があり乗客が座っていれば、目的地に到着していたことも、同社は否定しない。発覚は偶然だった。

そのため国土交通省航空局は改善指示の中で、搭乗手続手順の見直しとともに、搭乗旅客とその人数の確実な把握方法の構築を迫るが、有効な対策は見つかっていない。

「搭乗手続きを確実に行うことに尽きると思う。今回のことはヒューマンエラーなので防止するための指摘やシステムでの防止など、制限をかけずに幅広く取り組んでいきたい」(同)と、話す。

《中島みなみ》

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