経常赤字が半数…第三セクター鉄道の経営動向 2015年度

鉄道 企業動向
つくばエクスプレス(TX)の秋葉原駅
つくばエクスプレス(TX)の秋葉原駅 全 5 枚 拡大写真

東京商工リサーチは、2015年度の全国第三セクター鉄道63社の経営動向調査結果を発表した。

全国の三セク鉄道運営会社63社の2015年度(2015年4月~2016年3月期)の全体の経常損益の合計は241億4800万円、前年度比55.0%増だった。

しかし、経常赤字だったのは半数の35社を占めた。経常赤字額が大きかった三セク鉄道では、えちごトキめき鉄道が18億9300万円で最大だった。これは車庫などの新設設備にかかる減価償却費を計上したため。2位の肥薩おれんじ鉄道は九州新幹線の運用開始で発足したが、2期連続で赤字を計上した。

利益剰余金がマイナスの累積赤字も40社と全体の6割に達し、三セク鉄道の厳しい経営環境が明らかになった。

三セク鉄道63社の2015年度の営業収入合計は2297億0700万円、同7.7%増で増収だった。総輸送人員も8億7003万6000人、同8.1%増だった。

営業収入額トップは2005年8月開業の「つくばエクスプレス」を運営する首都圏新都市鉄道で420億1100万円だった。2位は東京臨海高速鉄道(りんかい線)の200億3000万円だった。次いで、北総鉄道、東葉高速鉄道、横浜高速鉄道と続き、トップ10社すべてを都市型三セク鉄道が占めた。沿線人口と輸送人員の増加を背景に営業収入を増やしている。

輸送人員ランキングもトップは首都圏新都市鉄道で輸送人員は1億2315万人だった。上位10社すべてを都市型が占め、営業収入ランキングとほぼ同じ顔ぶれ。営業収入と輸送人員トップの上位10社で、どちらも最も高い伸びを見せたのが大阪高速鉄道(大阪モノレール)だった。伊丹空港を起点に万博記念公園などを通過するが、沿線の大規模商業施設のオープンやインバウンドが輸送人員の増加に寄与した。

旧国鉄転換型の三セク鉄道は31社中、経常赤字が26社と8割を超えて赤字だった。また、半数を越す18社の輸送人員が前年度から減少しており、沿線人口の減少に伴う輸送人員減で慢性的な赤字体質が浮き彫りになっている。

私鉄・新幹線転換型12社では、経常黒字6社、赤字6社と拮抗した。このうち、しなの鉄道は善光寺御開帳による観光客増加と北陸新幹線開業に伴い新たに長野~妙高高原間(北しなの線)を引き継いだことから輸送人員が増加、大幅な増収増益となった。

三セク鉄道63社の自己資本比率は、全社平均で46.0%だった。各レンジは40~50%台が19社で最も多く、60~70%台が12社、0~10%台が10社と続く。2015年度末時点の債務超過は、樽見鉄道、東葉高速鉄道、広島高速鉄道、沖縄都市モノレールの4社だった。

《レスポンス編集部》

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