クラリオン『フルデジタルサウンド』はこう楽しむ…プロショップ・デモカー

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BMW・E46カブリオレ by カーズファクトリーシュティール
BMW・E46カブリオレ by カーズファクトリーシュティール 全 14 枚 拡大写真

発売が開始されてから丸半年が経過した、Clarion『Full Digital Sound』。時が過ぎゆくほどに認知度もアップし、装着ユーザーの数も着実に増加している。そんな中、今改めて、この新時代のカーオーディオシステムの楽しみ方のポイントを考察してみようと思う。

ヒントとしたのは、以下の2台のデモカーだ。千葉県の気鋭ショップ、“サウンドクオリティー”が製作した「TOYOTA・プリウス」と、山形県の人気店、“カーズファクトリーシュティール”製作の「BMW・E46カブリオレ」。スタンダードな料理法と、スペシャルな料理法、対極的な手法で作り込まれた2台を例に取りながら、『Full Digital Sound』の魅力を掘り下げていく。

■音に効く作業をふんだんに、しかし効率的に実施して、“良音”をゲット。

最初にご紹介するのは、千葉県の“サウンドクオリティー”が製作した「TOYOTA・プリウス」。当車には以下のようなシステムが搭載されている。フルデジタルサウンドプロセッサー(サウンドプロセッサー/ツィーター/コマンダー)『Z3』(税抜定価:12万5000円)+フルデジタルスピーカー『Z7』(2本1組、税抜価格:8万7000円)+フルデジタルサブウーファー『Z25W』(税抜価格:7万3000円)×1発という、『Full Digital Sound』を搭載する場合の基本フォーメーションである。

インストール手法も至ってスタンダード。ツィーターこそAピラーにカスタムインストールされているが、フルデジタルスピーカー『Z7』は、内張りパネル内に収める“インナーバッフル”という手法で取り付けられていて、トランクのフルデジタルサブウーファーにおいても、ウーファーボックスを製作して載せるという、基本的な搭載方法が選択されている。

ちなみに、ツィーターをもっともライトな仕様で取り付けようとするならば、ダッシュボード上にポンと置けばOKだ。そうではなくAピラーに装着した理由とは…。

ポイントはいくつかあるが、良く言われるものは以下の3つだ。1つ目が、ある程度高い位置に付けられるので、サウンドステージを高い位置に再現しやすいこと。2つ目が、車内の幅を左右一杯に使えること。3つ目がダッシュボード上での音の反射の影響を少なくできること。つまり、お手軽さを取るか、メリットを取るか、という2択の中で、ここではメリットがチョイスされた、というわけなのだ。

なお、ドアのスピーカーの取り付けにおいては、音的な利点を優先させようとするならば、スピーカーの取り付け面を内張りパネル面まで立ち上げる、“アウターバッフル”という手法が存在している。この「プリウス」では、それが選ばれることはなく、ここについては“お手軽さ”が優先されている。

ただし、ドア内部では、音響的なコンディションを整えるための加工が抜かりなく実行されている。いわゆる“デッドニング”という作業だ。取り付け方法はお手軽に行いながらも、良音を得るために十分に手が掛けられている、という次第である。

また、サブウーファーボックスについても、音質を上げるための工夫が盛り込まれている。“バスレフ”という手法が採用されているのだ。もっともスタンダードなボックスタイプは“シールド(密閉型)ボックス”だが、それに対して“バスレフ”ボックスでは、“ポート”を設けてボックス内部の音を反転して表側に出すというサウンドチューニングが実行される。これを取り入れ、より低域の量感を得ようと試みた。

つまりこの「プリウス」は、ある程度現実的な手法で『Full Digital Sound』が運用されつつも、音に効くノウハウがふんだんに盛り込まれている。“サウンドクオリティー”代表の越野さんはこう語る。

「当デモカーと同様のユニット構成で、同じ取り付け方法を取った場合、ご予算は約40万円ほどです。車種によっても異なりますので、あくまでも目安ですが。ちなみに、同価格のアナログシステムでは、ここまでの音質を得ることは難しいですね。ただ、アナログシステムでは、さらに予算をかけることでクオリティーを上げていくことは可能です。発展性はアナログシステムに分があります。しかしながら、この予算の範囲では、『Full Digital Sound』のほうが音が良い。

もしも『Full Digital Sound』を導入されるなら、このシステムのコストパフォーマンスの高さを、できる限り享受していただきたいと思うんです。ある程度予算は抑えながらも、このくらいはやっておくと良いと思われることを、このデモカーでは提案しています」

とのことだ。では、実際の音はどうだったのかと言うと…。

なるほど、サウンドは至ってクリア。各楽器の音が混濁することなくしっかりと分離し、サウンドステージの見通しが良い。さらには情報量が多く、解像度も高いので、ステージの立体感が上手く表現できていて、各楽器毎の音色も実にリアルだ。これらはすべて“フルデジタル”であることの利点だろう。その上で、温かみもある。デジタル=冷たい、という一般的なイメージにはまるで当てはまっていない。

確かに、予算40万円でこのクオリティーを得るのは簡単でないはずだ。限られた予算の中で効率的に本格フルシステムを組もうと思うなら、『Full Digital Sound』は候補の筆頭になり得る。そのことを、この「プリウス」は証明してくれていた。

■“変則フロント3ウェイ+サブウーファー”という独自スタイルを展開!

続いては、もう1台のデモカー、“カーズファクトリーシュティール”製作の「BMW・E46カブリオレ」をご紹介していこう。

このクルマでは、特別な楽しみ方が展開されている。“完結型”と認識されている『Full Digital Sound』ではあるのだが、実は発展的に運用する方法がいくつか存在していて、その1つがユニークな形で実践されているのだ。

発展的な運用方法とは、大きくわけて2つある。1つは、1系統用意されている“アナログ出力”を活用する方法だ。そしてこの活用方法の中にも、2つのスタイルが存在している。1つは、アナログパワーアンプ+サブウーファーをシステムに加える、というスタイルであり、もう1つは、アナログパワーアンプ+ミッドレンジを加えて、フロント3ウェイを構成するというスタイルだ。

そしてもう1つの運用方法とは、デジタルのリア出力をフロントステージで活用するというものだ。この「BMW・E46カブリオレ」では、まさにこの手法が実行されている。

リア出力を活用し、フロントに『Z7』を2セット取り付けてある。ドアに1つ、さらにもう1つを、キックパネルに装着している。

なお、この2つの『Z7』には、別々の役割が与えられている。音楽信号を帯域分割し、1つをミッドウーファーとして、1つをミッドレンジとして使っている。つまり、“変則フロント3ウェイ”が構成されているのだ。編集部で知るところでは、『Full Digital Sound』搭載車の中でこのような運用スタイルが取られているクルマは、今のところこのクルマただ1台のみだ。

ちなみ、同じスピーカーをフロントでダブル使いする場合、2つのスピーカーには同じ信号が送り込まれるケースのほうが多い。同じ役割のスピーカーを2セット用意し、単純にパワーを稼ごうとするのである。ではなぜこのクルマでは、その方法が取られなかったのだろうか…。

その理由は、装着方法が異なるから、である。キックパネルに取り付けた『Z7』は、“シールドボックス”に収められていて、ドアの『Z7』は“フリーエア”で取り付けられている。このように、同じスピーカーであっても取り付け方が異なると、同じ鳴り方はしない。同じ信号を送り込んでも鳴り方が変わってしまっては、ステレオイメージの整合性が取れなくなる。であるならば、別の役割を与えて、他のメリットを取り入れようと試みられた。

他のメリットとは、“3ウェイ”のメリットである。3ウェイ化すると、1つ1つのスピーカーの担当範囲を狭めることが可能となり、各スピーカーの負担が減り、それぞれより良い仕事が行える。かつ、サウンドに厚みも出る。

ただし…。コントロールの難易度は上がる。であるので、安易にトライできないのだが、成功すれば得られるメリットは多大なのだ。

“カーズファクトリーシュティール”代表の石岡さんは、『Full Digital Sound』のさらなる可能性を引き出すことにチャレンジしたいと考えて果敢にこれを実行した。

結果、どのようなサウンドが得られたのかを試聴させていただいた。

最初に感じたのは、中低域の分厚さだ。さらにはエネルギー感も十二分に感じられた。3ウェイのメリットを、額面通りに手にしていたのだ。そして、サウンドの土台がしっかりしたことにより、高域にも伸びが生まれている。

低域の出方が良くなると高域の質も上がる、というのは、オーディオにおいての1つの定説だ。楽器の音は、音程を決める“基音”と呼ばれる成分と、音色を決定する“倍音”(基音に対して整数倍の周波数の音)でできているのだが、低音がしっかり出ると、それに付随する“倍音”が豊かに響く。この現象が、このクルマでも起きている。

“変則フロント3ウェイ+サブウーファー”を実りある形で実現できているこの、「BMW・E46カブリオレ」。なんとも爽快なデモカーだ。

カーオーディオは、創意工夫を発揮させることで、楽しみ方の幅が広がる。それは『Full Digital Sound』でも同様なのだ。このクルマはそれを地で行った。

なお、10月4日から千葉県・幕張メッセにて4日間にわたり開催された『CEATEC JAPAN 2016』内のClarionブースにて初お披露目された、同社の『Full Digital Sound × SurroundEye』デモカー「TOYOTA・シエンタ」の、フルデジタルスピーカー『Z7』はフロントにダブル付けされている(オーディオについては“カーズファクトリーシュティール”がインストールを担当)。同デモカーは今後、国内で開催されるさまざなイベント、試聴会に登場予定だ。どこかで見かけたら、ぜひともご試聴を。

いかがだったろうか。Clarion『Full Digital Sound』は、定番スタイルから斬新な方法まで、思い思いのアプローチで楽しむことが可能だ。

この新時代のカーオーディオシステムは、ただ新しいだけではない。じっくりと、そして幅広く楽しめる、手応えあるシステムなのだ。これに興味を持つアナタには、この2台の楽しみ方を、大いにご参考にしていただきたい。

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Clarion『Full Digital Sound』は、こう楽しむベシ! タイプの異なる2台のプロショップ・デモカーを、詳細リポート!

《太田祥三》

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