佐賀市の嘉瀬川河川敷をメイン会場も「2016佐賀熱気球世界選手権」が開催され、7日間にわたって13フライトの競技飛行が行われ、11月6日、ファイナルを迎える。競技には35カ国から105機のバルーンが参加。そんな日本最大のバルーンイベントを追った。
競技は、「ターゲット」と呼ばれるゴールへ向かって数km先からバルーンで飛び、「マーカー」と呼ばれる黄色い帯が付いた砂袋を投下して、その落とした位置の正確さで競い合う。競技飛行は午前(6時45分~)と夕方(14時45分~)の2回。最高点は1000点で、獲得したポイントの合計で成績が決定される。
夜明け前の薄暗い中、会場に着くとヒンヤリとした空気が身を包む。この日の最低気温は7.6度。風速は1.9m/sとバルーンを飛ばすには絶好のコンディションとなった。やがて空が瑠璃色に変わり始めると、あちこちから「ゴーッ!」とバーナーで熱気を送る音が聞こえ始める。いよいよ離陸だ。
我々は競技者たちのバルーンを空から眺めるために同乗。一足早く会場から離陸した。“離陸”とはいっても、その速度は極めてゆっくり。上昇している感じはほとんどない。風に乗って飛ぶこともあり、相対的な風速はゼロに近い。そのため、上空でも寒さはまったくと言っていいほど感じなかった。
上空では遠くで電車が走る音がする以外、あとは上昇時に点火するバーナーの音だけ。とても静かだ。まさに浮遊するといった感覚で空を移動していく。やがてバルーンは1200mほどの高さまで到達すると、朝陽を浴びた有明海から背振山脈までが一望できるまでになった。
少し高度を下げていくと、競技者たちのバルーンが自分たちの目線の高さに合ってきた。朝日を浴びた色とりどりのバルーンは美しいの一言。その美しい光景に、自分が「高いところは苦手」ということすら忘れさせてしまうほどだ。
ふと見ると、他の気球のゴンドラから黄色の帯みたいなモノが投げられた。マーカーだ。熱気球は目標地点に近づくとマーカーを正確に落とせる位置まで高度を下げる。熱気球のパイロットがマーカーをゴールポイントに向かって投げ入れると、待ち構えた審判員がその位置を測量し、記録されていく流れだ。
最終結果が出るのは間もなくだ。
〈取材協力 ホンダ〉