お客と荷物を一緒に運ぶ「混載列車」試運転…北越急行と佐川急便がコラボ

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北越急行と佐川急便は「貨客混載事業」のトライアルを実施。ほくほく線の旅客車両に荷物カーゴを搭載して六日町~うらがわら間を走った。
北越急行と佐川急便は「貨客混載事業」のトライアルを実施。ほくほく線の旅客車両に荷物カーゴを搭載して六日町~うらがわら間を走った。 全 18 枚 拡大写真
ほくほく線を運営する新潟県の第三セクター・北越急行は11月8日、旅客と荷物を一緒に運ぶ「貨客混載事業」の試運転を実施し、検証作業の様子を報道陣に公開した。2017年春以降の本格的な実施を目指す。

ほくほく線は、六日町(新潟県南魚沼市)~犀潟(上越市)間の59.5kmを結ぶ鉄道路線。2015年3月に北陸新幹線の長野~金沢間が延伸開業したのに伴い、ほくほく線経由の在来線特急『はくたか』が廃止され、北越急行の収入が大幅に減少した。

こうしたことから『はくたか』に代わる増収策の一つとして、旅客列車を使った荷物輸送が浮上。宅配大手の佐川急便と協力して旅客と宅配荷物の混載を行うことになった。北越急行は、利用者が少ない時間帯に走る列車の輸送余力を活用して収入を増やせるというメリットがあり、佐川急便は深刻化するトラックドライバー不足の改善策になるなどのメリットがある。

11月8日の試運転列車は、六日町~くびき間で1往復運転。実際に荷物を運んだ区間は六日町~うらがわら間で、荷物の積卸し作業が六日町駅とうらがわら駅で行われた。

車両はほくほく線の普通列車で普段使われているHK100形電車1両(HK100-10)だが、車椅子スペースの壁にベルトの取付金具を設置し、荷物置き場としても利用できるようにした。一方、佐川急便は専用のカーゴを2台試作。耐荷重は1台あたり300kgで、2台並べると車椅子スペース1カ所が埋まる格好となる。

往路のテストは六日町駅の改札内通路から始まった。佐川急便の運転手が、ダミーの荷物を搭載した専用カーゴをエレベーターに載せ、ほくほく線の4・5番線ホームに移動。しばらくして試運転列車のHK100-10が5番線に入線し、専用カーゴの積込み作業が始まった。

電車のドアとホームの隙間を埋める渡り板を敷き、続いてカーゴを車内に搬入。ドアの脇にある車椅子スペースにカーゴを置き、ベルトを使って固定した。今回使用したベルトは既製品で長さの調整が必要だったこともあり、作業時間は想定より1分ほど長い4分かかったが、今後は専用のベルトを開発するなどして作業時間を短縮する。慣れれば1分半程度で作業を完了できるという。

試運転列車は10時44分に発車。定期運行の普通列車をやり過ごしながら、うらがわら駅に向けて進んだ。北越急行や佐川急便の関係者は、駅構内の分岐器(ポイント)など振動が発生しやすい地点でカーゴの状態を随時チェックしていたが、ベルトで固定されたカーゴはピクリとも動かない。まつだい~ほくほく大島間の鍋立山トンネル内では、HK100形の営業最高速度である110km/hから非常ブレーキをかけ、意図的に大きな揺れを発生させたが、それでもカーゴに目立った動きは見られなかった。

北越急行運輸部の磯部正昭部長は、往路の試運転終了後の会見で「思っていた以上に揺れず、安心した。『はくたか』廃止の減収分を確保できるほどではないが、収入は増える。他の第三セクター鉄道などにも広がっていけばいいと思う」などと話し、貨客混載事業による増収への期待を示した。

佐川急便営業部営業課の萩原健二課長は、トンネルが多く雪に強いほくほく線の路線環境を踏まえ、冬季輸送の安定化にも期待を示しつつ「旅客との混載を考えると、カーゴの角の処理など課題も多い」などと述べ、本格運転の実施に向けて改善しながら検討を進めていく方針を示した。

北越急行と佐川急便は今後も検証を続け、2017年春以降の本格実施を目指す。実施区間は佐川急便の六日町営業所から上越営業所までで、六日町営業所から六日町駅まではトラックで輸送。六日町~うらがわら間をほくほく線の列車で運び、うらがわら駅から上越営業所までは再びトラックで運ぶ。

6月の発表では最終列車で混載事業を行うとしていたが、現在は20時台以降の列車で混載を行う方向で協議しているという。今回の試運転列車は1両だったが、実際に混載を行う列車は2両編成とし、車椅子スペースは1編成で計2カ所を確保。このうち1カ所の車椅子スペースのみカーゴを搭載し、編成中の全ての車椅子スペースがカーゴで埋まることがないようにするという。

《草町義和》

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