【ダイハツ ムーヴキャンバス 試乗】吊るしのままノホホンと乗りこなしたい…島崎七生人

試乗記 国産車
ダイハツ ムーヴ キャンバス G“メイクアップ SA II”
ダイハツ ムーヴ キャンバス G“メイクアップ SA II” 全 8 枚 拡大写真

ツリ目やエアロパーツは似合わない。背が高過ぎない(『ウェイク』より180mmも低い!)個性と、ノホホンとしたキャラを“吊るし”のまま楽しむ……そんなスタンスが、このクルマの真骨頂ではないか、と思った。

その意味でメーカーが“実家住まいの独身女性がターゲット”と言う点もはなはだ疑問だ。むしろ老若男女、どなたでもどうぞ!とアピールすべき。たとえば「自分はもう子育て世代ではないが、軽ミニバンの使い勝手のよさは魅力に感じる」、そんなユーザーの気持ちを十分に吸引できるポテンシャルはある。

実車は見るからにホノボノ系だ。2色使いのカラーリングにVWのバスを連想する向きもあろうが、ルーフを白にした瞬間『ミニ』に見えるようなもの…と、軽く流していい。グレーがベースのストライプスカラーもなかなか渋い。カド丸のスタイリングは、リヤウインドが寝かされる(フロントガラスの傾斜も『タント』とは違うのだそう)などし、四角く機能重視のミニバンより生活感が薄い。メッキを多用したイカツいマスクではない点も、乗る者の気持ちに安堵感を呼び起こす。

高すぎない天井の室内空間も、自分の収まりがいい。スペースは十分で後席は床がフラットだから、人を乗せても好評だろう。後席は240mmストロークのスライド機能ももつ。余計なデザインを盛っていないスッキリしたインパネのデザインにも好感がもてた。プレーンな道具らしいシート表皮も感触がよく快適だ。

3気筒の自然吸気エンジン+CVTの走りは無理がなく、実用上十分な性能。アンダーボディは『タント』と『ウェイク』の発展型だそうだが、乗り味もサラッと穏やかだ。ボンネット裏にささやかなインシュレーター(吸音材)が貼ってあるなどし、走行中のエンジンノイズも気にならないレベルだ。

ワンタッチ機能付きウインカー(3回点滅する)は、この機能に馴染んだ上級車ユーザーにも嬉しいだろう。チルトステアリング、最小回転半径4.4mの扱いやすさや、車速域を広げた衝突回避支援ブレーキなど、実用性や機能も充実した内容だ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

《島崎七生人》

島崎七生人

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト 1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 「本当に世に出るとは」わずか1トンの車体に800馬力V12を搭載、「超アナログ」なスーパーカーにSNS沸く
  2. BMW『8シリーズ』初代オマージュの「エディション M ヘリテージ」登場、世界限定500台
  3. トヨタの新型EV『アーバンクルーザー』をくまなくチェック!…詳細画像記事ベスト5 2025年上期
  4. 狭い道! 制限1.7mでコンクリートブロック付き、道幅は5mあるけど?…東京都板橋区
  5. スズキの人気トールワゴン『ソリオ』開発責任者が語る、「顔だけじゃない」マイナーチェンジの真価
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  3. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. 「ハンズオフ」は本当に必要なのか? 高速での手離し運転を実現したホンダ『アコード』を試乗して感じた「意識の変化」
ランキングをもっと見る