富士通は、NTTドコモと第5世代移動通信方式(5G)向け大容量化技術である超高密度分散アンテナの実験で超高密度分散アンテナの有効性を確認したと発表した。
2020年以降の実用化に向けて世界中で研究開発が進められている移動通信方式である5Gは、急増する移動通信のトラフィックに対応するため、現在の1000倍以上の大容量化や、10Gbpsを超えるデータ通信速度の実現、センサーネットワークなどのM2M通信の普及に伴うデバイス数増加への対応などを目指している。
富士通は、NTTドコモと共同で、移動通信システムの大容量化に貢献する技術として超高密度分散アンテナの研究開発を進めている。
9月に神奈川県横須賀市で実施した電測車による屋外実験では、4.5GHz帯の周波数(帯域幅200MHz)を利用し、約40m間隔で4カ所に分散配置された基地局アンテナを使って、8人のユーザーが同時に歩行している環境を模した電測車(8素子のアンテナを搭載し、時速5kmで移動)を使って実験した。この結果、実験区間内で全ユーザー合計で最大5Gbps、平均3.8Gbpsのシステム容量が得られることを確認した。
今回の実験では、基地局には4素子のアンテナを配し、計16素子のアンテナを超高密度に分散配置し協調伝送することで、樹木などの電波遮へい物に対する通信耐性を高め、安定的に高いシステム容量が得られることが明らかになった。
富士通とNTTドコモは今後も共同実験を進め、様々な環境でのフィールド実験をもとに5G技術の確立に貢献するなど、2020年以降の5G実用化に向けて取り組みを加速させる。