首都高、環2、流通セ、国立…建設ラッシュ東京に見えるそれぞれの“事情”

自動車 ビジネス 国内マーケット
環状2号勝どき高架橋
環状2号勝どき高架橋 全 5 枚 拡大写真

オリンピック東京2020へ向け、都内のあちこちで新設・建替・修繕などの工事がすすんでいる。更地の国立競技場跡地は基礎工事が始まり、築地市場脇をトンネルで貫く環状2号線は計画変更などが議論されている。湾岸へ目を向けると、首都高の修繕や、倉庫建替工事などが見えた。

羽田空港方面の東京モノレールに乗り、天王洲アイル駅を過ぎたころ、右手に首都高速1号羽田線が寄り添ってくる。羽田線は東品川桟橋・鮫洲埋立部1.7kmで大規模更新工事がすすむ。事業費は912億円で、2026年まで工事が続く予定。

流通センター駅を過ぎるあたりで、左手に大規模な建設工事現場が見えてくる。これは東京団地冷蔵再整備事業のひとつで、“東京の冷蔵庫”といわれた建物の老朽化などにより建替工事がすすんでいる。「2018年に竣工予定。投資額は360億円程度」(東京団地冷蔵)。環七通りの歩道橋からは、トラックなどが行き来する新たなスロープが出現していた。

「冷凍冷蔵倉庫は、冷蔵、冷凍などのフロアのほか、店舗フロアなどもあり断熱の面で工夫がいる」と話すのは、コンストラクションマネジメント(CM)でエージェック代表の作本義就氏。「地上階に売店があって、その上に製造工場があって、上部階に冷凍冷蔵倉庫という複合施設の建造物のCMを担当している。冷蔵倉庫は、工場設備や電気、空調、衛生と、それぞれのフロアで機能や条件がまったく違う。各階で防熱を施すが、実は屋根からの熱がいちばん伝わりやすい」という。

また、今回の東京2020の関連施設にまつわる報道でよく耳にするようになった「設計」「施工」などについて、もともと大手ゼネコンで現場管理を担当していた作本代表はこう教えてくれた。

「まず発注者は建設のことについては素人に近い人たちばかり。たとえば設計事務所に依頼すると、彼らは絵や面積だけ出してきて、予想以上の予算を積んでくる。コストダウンを求めると、彼らは金額を下げるんじゃなくて、面積や建物を小さくしてくる。『うちの利益確保するのはこれくらい』という感覚で入札してくる」

「いっぽうで、ゼネコンはデザイン提案と設計書をいっしょにして出てくる。設計はふわふわ、施工はギュッとというイメージ。設計は絵を描くだけ。ファンドは金しか見てない。建設コストを見る人と発注者の意思を伝える人がいない。そこに、コンストラクションマネジメントが必要でエージェントが要る」

「ゼネコン各社の入札額にはかなりの開きがある。工法や工期が違えども」という作本代表。毎日のようにニュースで報じられている国立競技場問題についても、CMの立場からこうもらしていた。「最初から1社だけで決まっていたことが不思議」と。

《レスポンス編集部》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 【メルセデスベンツ Eクラスオールテレイン 新型試乗】Eクラスを選ぶならこれが一番。ただしお値段は…中村孝仁
  2. どこだ? 日産が7工場を閉鎖予定---可能性のある工場すべてをリストアップした
  3. 地面が光る「埋込型信号」が日本初導入、「横断歩道がわかりやすくなった」効果に期待
  4. インフィニティの中型SUV『QX60』、改良新型は表情一新…初の「SPORT」も設定
  5. マツダ『CX-5』新型、7月10日世界初公開へ
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 茨城県内4エリアでBYDの大型EVバス「K8 2.0」が運行開始
  2. リチウムイオン電池の寿命を2倍に、矢崎総業、バインダフリー電極材料を開発
  3. 中国EV「XPENG」、電動SUV2車種を改良…新電池は12分で80%充電可能
  4. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  5. 低速の自動運転遠隔サポートシステム、日本主導で国際規格が世界初制定
ランキングをもっと見る