【ホンダ フリード 試乗】「使ってわかりやすいクルマ」を見事に実現している…会田肇

試乗記 国産車
ホンダ フリード ハイブリッドEX
ホンダ フリード ハイブリッドEX 全 17 枚 拡大写真

9月にモデルチェンジしたホンダのコンパクトミニバン『フリード』が、発売後1か月後の実績で2万7000台もの受注を獲得する超人気ぶりを発揮している。用意されたラインナップはハイブリッド車とガソリン車の2タイプ。早速、両車を乗り比べてみた。

フリードは今や累計生産台数が58万台にもなるホンダにとって主力車種のひとつ。しかし、トヨタから新型『シエンタ』が出るや、アッという間に首位の座を奪われてしまった。少し洒落た感じながら奇抜なデザインだったシエンタに対し、フリードはどちらかといえばオーソドックスさを重視したデザインになっている。この対極にあるような両車が試乗でどう評価されるか注目したが、フタを開ければ両車共に好調な売れ行きを示し続け、このカテゴリーの市場は一気に膨れあがったと見ていいだろう。

さて、そんな状況下野中、新型フリードに乗り込んで街へ出てみた。まず試乗したのは「フリード ハイブリッドG」だ。パワーユニットには1.5リットル直4エンジンに高出力モーターを内蔵した7速DCTを組み合わせる「i-DCD」を採用。ギア比はフリード専用に合わせ、低燃費と軽快な走りを両立させ、燃費はJC08モードで26.6km/リットルを達成し、ガソリン車の19.0km/リットルを大きく上回っている。

アクセルを軽く踏むとすぐにトルク感を感じさせる走りを見せ、車速がリニアに上がっていくのはいかにもDCTらしい。若干シフトショックは感じたが、反応の良いモーターの動きとも相まって発揮されるリニア感が個人的には好みだ。ステアリング操作に対する反応も背の高いミニバンとは思えない追従性を示す。乗り味も前モデルに比べて重厚感が出ており、このクラスとは思えないしなやかな走りを楽しめるのだ。

一方のガソリン車は軽快な動きが持ち味だ。ハイブリッド車に比べて60kgほど車重が軽いことが大きいとは思うが、ピックアップの良いCVTがより楽しい走りを実現している。ノーズが軽快に回る感じで、キビキビとした走りが心地よい。高速道路に入ってもその傾向は変わらず、追従性の良いステアリング操作によって、ミニバンとは思えないスポーティな走りが楽しめる。

運転席に座ると広々とした視界が見渡せる。後方を振り返っても四隅が手に取るように分かって、クルマの動きが把握しやすい。このサイズ感がこのカテゴリーのクルマに人気が集まる秘密なのだ。操作系は特に際立つものはないけれど、全てが自然に目に入り操作できるのがいい。使ってわかりやすいクルマ、これが見事に実現されているのだ。その例えはエアコンの操作ダイヤルからも見て取れる。温度を上げると赤く、下げると青く光る仕掛けとなっており、操作した実感をドライバーに伝えようというわけだ。

室内は前モデルよりも大幅に広くなった。6人乗り3列シートのフリードは、1~3列目のヒップポイント間を前モデルよりも90mm拡大しており、どのシートに大人が座っても快適に過ごせるスペースを確保したという。特に2列目のキャプテンシートはこれまでより長い360mmもの前後スライドができ、乗車人数に応じて自由自在なシートセッティングが可能なのは重宝する。

見逃せないのが5人乗りの「フリード+」のカーゴスペースだ。床面は地面に届きそうなほどの低さで、聞けば開口部地上高は従来の「フリードスパイク」に比べて185mmも低い335mmとなっているのだという。これにより、ゴルフバッグをタテに4個も積載できる大空間を実現しているのだ。また、後席を床に収納して耐荷重200kgの「ユーティリティボード」を使えば、上下2分割にして大人二人の車中泊も可能になる。あっては欲しくない災害時にも間違いなく役立つことだろう。

■5つ星評価(ハイブリッド車)
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★

会田 肇|AJAJ会員
1956年・茨城県生まれ。明治大学政経学部卒。大学卒業後、自動車専門誌の編集部に所属し、1986年よりフリーランスとして独立。主としてカーナビゲーションやITS分野で執筆活動を展開し、それに伴って新型車の試乗もこなす。日本自動車ジャーナリスト協会会員。

《会田肇》

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