英国の高級車メーカー、ジャガーカーズは11月18日、米国ロサンゼルスにおいて、1957年式『XKSS』の復刻モデルを初公開した。
世界初のスーパーカーとも称されるXKSSは、1954年から1956年にかけて、ルマン24時間耐久レースで優勝したジャガー『Dタイプ』の公道仕様バージョンとして製造された。しかし1957年、英国ミッドランドのブラウンズレーン工場で火災が発生。北米へ輸出される予定だった9台のXKSSが焼失し、結果として16台しか生産されていない。
ジャガーは2016年初頭、コレクターのために、この失われた9台のXKSSをジャガー・ランドローバーのスペシャルオペレーションズ部門に属する「ジャガークラシック」で蘇らせると発表。今回、ロサンゼルスで初公開されたXKSSは、約18か月におよぶ研究を経て製作されたワンオフモデルで、9台の顧客向けXKSSの設計のベースとなる。
ロサンゼルスで初公開されたXKSSは、ジャガーが保管していた当時のオリジナルの図面をもとに、忠実に再現。さらに、今日の技術も融合された。ジャガークラシックのエンジニアリングチームは、1957年式XKSSをスキャンして、ボディからシャシー、そして必要な全パーツに至るまで、完全なデジタルイメージを構築した。
XKSSのボディには、1957年当時と同じマグネシウム合金を使用。オリジナルの型が現存しないため、ジャガークラシックが1950年代のオリジナルボディをもとに、新たに型を製作。ボディはこの型をもとに、ハンドホイーリングと呼ばれる伝統的な手法で成形された。
エンジンは、Dタイプと同じ3.4リットル直列6気筒ガソリン。最大出力262hpを発生する。このエンジンには、全く新しい鋳鉄ブロック、鋳造シリンダーヘッド、3つのウェーバー社製DC03キャブレターが採用された。
なお、この9台のXKSSは、全く新しいものでありながら、シャシー番号は往年のXKSSのシャシー番号に続く数字が与えられる。ジャガーは、「販売価格は100万ポンド(約1億4100万円)を超える見込み」と説明している。