【池原照雄の単眼複眼】トヨタ、TNGAエンジンで「走りを変える」

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トヨタ・カムリ新型の予告イメージ
トヨタ・カムリ新型の予告イメージ 全 6 枚 拡大写真

動力は10%、燃費は20%の向上がターゲット

トヨタ自動車がエンジン性能強化にも力を注ぐ。トヨタといえばハイブリッド車(HV)や燃料電池車(FCV)といった環境対応の電動化技術で先行し、2050年にはエンジンのみで走るクルマを「ほぼゼロ」にすると宣言してきただけに、ちょっと意外に受け止められるかもしれない。だが、エンジン車ゼロに至る過程での量的な主役はPHV(プラグイン・ハイブリッド車)やHVといったエンジン搭載車であり、その技術強化は重要かつ急がれるテーマなのである。

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エンジン性能の強化方針は、動力機構(パワートレイン)を担当する社内分社組織として今年4月に発足した「パワートレーンカンパニー」のプレジデントである水島寿之専務役員らが、このほど記者会見して発表した。エンジン単体をはじめ、HVシステム、変速機(トランスミッション)の3ユニットの目標性能や市場投入計画などを明らかにした。

これらは同社の新しい開発手法で、15年末に発売した4代目『プリウス』に初適用されたTNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)の一環として取り組んでいる。エンジンではコンパクト化や低重心化、高速燃焼技術などを、またトランスミッションでは、8速・10速AT(自動変速機)といった多段化や高効率化などを追求、高い動力性能と環境(燃費)性能との両立を図っていく。こうした新開発のユニットを搭載した車両は、動力性能(一定範囲の加速性能)で約10%、燃費性能では約20%の向上を実現するという。

5年間でエンジン、HVシステム、トランスミッション計19機種を集中投入

今後は世界各地域で環境規制が強化されることからも、製品投入も加速させる方針だ。車両への搭載が始まる17年から21年までの5年間で、3ユニット合計で19機種を集中投入する。内訳はエンジンが9機種、PHV用を含むHVシステムが6機種、ATやCVT(無段変速機)などトランスミッションは4機種となっている。水島専務はこれらを搭載した車両のグローバル販売は「21年までに年100万台のペースで増加させ、一気に展開したい」と表明した。

計画通りに投入が進めば、21年には日米欧と中国で販売するトヨタ車(レクサス含む)の6割以上が新エンジンなどの搭載車になる。また、同年にこれらの地域で販売するトヨタ車のCO2排出量は、燃費性能の向上分だけで15年実績に比べて15%以上の削減が可能としている。

CO2削減への確実、着実、現実的アプローチ

今回の記者会見では、17年に商品化されるエンジンとして「直列4気筒2.5リットル直噴ガソリンエンジン」のカットモデルなども展示された。トヨタは、TNGAによるこうした新世代シリーズを「ダイナミック・フォース・エンジン」と名付け、この2.5リットルが第1弾となる。ガソリン車用とHV用の仕様があり、熱効率はそれぞれ40%と41%と、同エンジンでは世界最高レベルを確保した。このエンジンは、北米市場を中心とした同社の中核セダン『カムリ』の全面改良モデル(HVも含む)にまず搭載される見込みだ。

エンジンの開発ではTNGAの特徴である設計の「モジュール化」も採用した。最適な燃焼のための吸排気バルブの配置角度や、ピストンの直径とストロークの比率などを導き出して共通化(=モジュール化)し、小排気量から大排気量に至るまで採用するのだ。新エンジンシリーズが完成すれば、同社のエンジン種類は約40%もの削減が可能という。モジュール化によって異機種の混流生産もできるため「開発効率だけでなく生産性向上にも大きく貢献できる」(水島専務)ことになる。

こうしたエンジンなど動力機構の開発強化について水島専務は、CO2削減に向けた「確実、着実、現実的で実行効果が期待できる取り組み」と指摘した。同時に高い動力性能によって「トヨタの走りを変えることも意図している」と強調する。1か月後に迫った17年のデトロイトモーターショーで初披露される次期カムリの性能諸元に注目したい。

《池原照雄》

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