デザインとは問題解決と価値創造…第2回レイルウェイ デザイナーズ イブニング

鉄道 企業動向
会場は約200人の参加者で満員となった
会場は約200人の参加者で満員となった 全 11 枚 拡大写真

車両や駅の設備などをはじめとする、鉄道事業に関わるデザイン関係者が一堂に会する『レイルウェイ デザイナーズ イブニング2016』が12月14日、国立オリンピック記念青少年総合センター(東京・渋谷)で開催された。

このイベントは2015年にスタート。2回目となる今回は『第23回 鉄道技術連合シンポジウム』にあわせて開催された。プログラムは2部構成で、第1部が「鉄道、まち、文化、そしてデザイン」と題されたプレゼンテーション。JR東日本とJR西日本、東京メトロそれぞれの新型通勤車両のデザインや技術が紹介された。

山手線の「E235」系を紹介したのは、東日本旅客鉄道鉄道事業本部運輸車両部車両技術センターの照井英之所長。西日本旅客鉄道車両部車両設計室の大森正樹課長は、大阪環状線初の専用車両として投入される「323」系を紹介。最後に東京地下鉄鉄道本部車両部設計課の松本耕輔課長が、日比谷線の新型車両「13000」系について説明した。

「E235系はコンセプト作りにかなりの時間をかけたというのが、それまでの車両と大きく違うところ。2008年ぐらいにプロジェクトが立ち上がっている」と照井所長。「人と対話する車両」をコンセプトワードに開発したという。人とは乗客や社会、社員を指すとのことだ。

大森課長は、323系は「(関西圏の)アーバンネットワークという広域ブランドの中にある、大阪環状線というひとつのブランドとして捉え、地域に親しまれるデザインを考えた」と説明。ただ車両だけをデザインするのではなく、環状線全体を変えてゆくための柱として車両デザインを考えたという。

東京メトロでは「以前は路線の特徴や条件を車両メーカーと協議して車両デザインを決定していた。現在は広く意見を求めるようにし、利用者目線での路線の特色を考慮した路線コンセプトを策定するようにした」と松本課長。社員からも意見を募り、部門横断的に議論を重ねるようにしているという。

その後GKデザイン機構の山田晃三取締役相談役をモデレーターに迎えたパネルディスカッションがおこなわれ、活発な議論が交わされた。山田氏は「鉄道デザインとは車両だけではなくて、設備や走る地域、街を考慮して総合的に考えることが必要。これはカーデザインとは大きく異なる点だ」と指摘する。

また今後、レイルウェイデザイナーズイブニングでは「日本が誇る鉄道デザインの未来を、横串で(横断的に)議論していきたい」という。「日本と世界の違いはなにか、そして日本が誇れるものはなにか。最終的には、移動するとはどういうことなのか、豊かさとはなにか、ということに行き着くのではないかと思っている」と山田氏。

このイベントの実行委員長を務める南井健治氏(近畿車輛取締役)は「デザインのキーワードは、問題解決と価値創造。それぞれの鉄道会社の、あるいは路線のブランドというところまで車両が担う方向になっている」と総括。

「デザインはデザイナーだけがやるものではない。鉄道会社や車両メーカーのあらゆる部門、材料メーカーなどの皆が力を合わせなければ、日本の鉄道デザインは世界に伍してゆけないのではないかと考えている」と結んでいる。

《古庄 速人》

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