【日産 ノート e-POWER 試乗】市街地燃費・パワーは優勢、課題はシャシー性能か…井元康一郎

試乗記 国産車
日産 ノート e-POWER
日産 ノート e-POWER 全 20 枚 拡大写真

日産自動車が11月に発表した新ハイブリッド『ノート e-POWER』を短時間テストドライブする機会があったのでリポートする。

【画像全20枚】

ハイブリッドカーにはおおむね3つの駆動タイプがある。モーターだけで発進加速を行うことができるストロングハイブリッド、エンジンの苦手な領域をモーターが補うマイルドハイブリッド、モーターをエンジンの始動や微弱な駆動力アシストのみに使うマイクロハイブリッド。ノートe-POWERは1番目のストロングハイブリッド。しかもエンジンは発電のみに使用し、走行は全面的に電気モーターが受け持つ“シリーズハイブリッド”である。国産勢の量産車でシリーズハイブリッド方式を採用したのは現行ホンダ『アコード』、現行三菱『アウトランダーPHEV』に続く3番目だが、Bセグメントコンパクトでは初採用だ。

試乗ルートは横浜の日産グローバル本社を出発し、撮影をこなしつつ三浦半島の逗子で折り返し、起点に戻るというもので、道路のおおまかな比率は市街地3:高速7。全行程ドライ路面、2名乗車、エアコンAUTO。

ノートe-POWERの最大の注目ポイントであろうハイブリッドパワートレインのパフォーマンスは大変良いものだった。電気モーター出力はずっと質量の大きなピュアEV『リーフ』と同じ109psゆえ、動力性能的には余裕しゃくしゃく。市街地を普通に走っているときにはそれほどハイパワーであるようには感じられないが、それはあくまでソフトウェアのチューニングがそうなっているというだけの話で、高速道路への流入や追い越しの際にフルスロットルをくれてやったときの加速はかなりのもの。トヨタ『アクア』に対しては明らかに優速。ホンダの『フィットハイブリッド』と比べると加速感ではやや落ちるが、低速でのスムーズネスや切れ目のない加速という点で優越していた。

シリーズハイブリッドとしての性格付けは、ホンダアコードより三菱アウトランダーPHEVに近く、発電した電力を積極的にリチウムイオン電池に充電する制御プログラムになっているようだった。エンジンが起動していない時間は結構長く、その間はEVのようにパワートレインからのノイズはほぼゼロで走れる。また、バッテリー出力は結構強力なようで、ちょっと強めの加速程度ではエンジンはかからなかった。負荷が連続的にかかる高速道路ではエンジンが起動している時間が大半を占めた。

エンジンノイズのレベルは低めに抑えられている。また、3気筒エンジンは倍音成分が4気筒と大きく異なるため、音を聞いただけですぐにそれとわかるものが多いが、ノートe-POWERのエンジンは設計段階で音の成分に関するチューニングをよほど入念に受けたのか、3気筒を意識されられることはなかった。

ショートドライブゆえ実燃費は測っていないが、平均燃費計ベースでみると、燃費性能は十分に良かった。最も得意なステージは渋滞が激しく平均車速が伸びない市街路で、他の形式のハイブリッドがたまらず20km/リットルを下回りそうなほどの混雑&ゴー・ストップであったにもかかわらず、平均燃費計値は25km/リットル弱まで伸びた。ならば空いた一般道ではもっと伸びるのではないかと予想したが、実際には渋滞時と変わらなかった。

相対的に弱いのは高速道路で、普通のクルーズで21km/リットル強、帰路に追い越し車線の優速な流れに乗って走った区間では17km/リットル台に落ちた。ちなみにこれらの数値は限界値ではなく、EVの特性に合わせたドライブを行えばもっと伸ばせそうな感触はあった。

パワートレインの良好なパフォーマンスに対し、シャシー性能のほうはライバルに対して劣勢であった。ノートは現行モデルになる際、使用するプラットフォームをBセグメント用から『マーチ』クラスのAセグメント用に切り替えており、ポテンシャルは高くない。路面のうねりや段差へのサスペンションの追従性は凡庸で、乗り心地も良いものではなかった。ただし、試乗車はまっさらの新車に近く、積算走行距離が増えてサスペンションがなじんでくれば、多少改善される可能性はある。

ノートe-POWER、アクア、フィットハイブリッドを項目別にランキングしてみると、市街地燃費はノート>アクア>フィット、高速燃費はフィット>アクア>ノート、動力性能はフィット>ノート>アクア、パワートレインの静粛性はノート>アクア>フィット、シャシー性能はフィット>アクア>ノートといったところであろうか。もっとも、短時間ドライブしただけではクルマの商品性や資質は限定的にしかわからない。いずれロングドライブを行って、あらためてリポートをお届けしたい。

■5つ星評価
パッケージング:★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★
オススメ度:★★★

《井元康一郎》

井元康一郎

井元康一郎 鹿児島出身。大学卒業後、パイプオルガン奏者、高校教員、娯楽誌記者、経済誌記者などを経て独立。自動車、宇宙航空、電機、化学、映画、音楽、楽器などをフィールドに、取材・執筆活動を行っている。 著書に『プリウスvsインサイト』(小学館)、『レクサス─トヨタは世界的ブランドを打ち出せるのか』(プレジデント社)がある。

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