Vツインエンジンが代名詞ともなっているハーレーダビッドソンだが、かつてはそうでないモデルもあったことが、『ハーレーダビッドソン ミュージアム』(アメリカ・ミルウォーキー)を訪れると知ることができる。
まずは1981年の『NOVA PROJECT』。大柄なフェアリングを持つ車体に搭載されるエンジンが、水冷式のV型4気筒だから驚く。ハーレー初の水冷エンジンといえば、2001年にデビューした『V-ROD』だが、V-RODはV型2気筒エンジンを搭載する。
一方、NOVA PROJECTは1976年に開発をスタートするものの市販化には至らず、まさに幻のハーレー。NOVAもV-RODもポルシェとの技術提携によるもので、ミュージアムには当時の資料も展示されている。一見の価値ありだ。
1941年の『XA』も興味深い。こちらはなんと、BMWでお馴染みの水平対向2気筒エンジンを積む。排気量は740ccで、トランスミッションは4速。ファイナルドライブもBMW同様にシャフトドライブを採用。軍からの要望で1000台強が製造され、若干ながら市販もされたらしい。
そしてXAの隣には軍用ハーレーとして有名な『WLA』もディスプレイされている。水深40cmの浅瀬を渡れるという軍のオーダーをクリアし、マシンガンホルダーといった専用装備を持っているから、まるでSFだ。
これを模したカスタムハーレーも飾られている。映画『キャプテンアメリカ』(2011年)に登場した『クロスボーンズ』をベースにした1台だ。マシンガンホルダーもしっかりあり、オリーブグリーンのカラーリングもよく似ている。