MRJ が5度目の納入延期、三菱重工業に欠けていた「知見」とは

航空 企業動向
愛知県営名古屋空港で飛行試験を行う「三菱リージョュナルジェット(MRJ)」の初号機。今はアメリカで飛行試験を続けている。
愛知県営名古屋空港で飛行試験を行う「三菱リージョュナルジェット(MRJ)」の初号機。今はアメリカで飛行試験を続けている。 全 4 枚 拡大写真

三菱リージョナルジェット(MRJ)について、三菱重工業は5度目の納入延期を表明した。最新のスケジュールでは2020年半ばに顧客引渡しが始まる。23日に行われた会見の場で同社の宮永俊一社長から繰り返し発せられたのは「我々の知見が足りなかった」という言葉だ。

MRJについてはこれまで子会社の三菱航空機が日本人主体で、外国人アドバイザーから助言を受けながら開発を進めてきた。しかし、昨秋(2016年11月)からは三菱重工業の宮永社長による直轄体制へと移行。他の航空機メーカーで働いた経験を持つ外国人エキスパートをゼネラルマネージャークラスの中核業務にも積極的に配置するなど、MRJに関わるエンジニアの外国人比率を徐々に増やしているという。狙いは外国人エキスパートの持つ知見の吸収にあるようだ。

三菱重工業としてはこれまでに戦闘機などの生産を行い、経験を積んできたことによってMRJという航空機を製造することはできたものの、民間の旅客機では必須となる型式証明をクリアするための各種試験であるとか、審査に必要な書類作成などについての情報はほとんど有しておらず、手探りの状態で進めざるをえなかった。三菱というより「日本という国にそうした知見や経験を持つ人がいなかった」ということでもあるが、この先は型式証明取得に関わったことのある外国人エキスパートを招き入れ、彼らから知見を得ながら型式証明取得にチャレンジすることになる。

「日本のものづくり」を過信していたがゆえ、重要なことを見落としていたと言えなくもないが、知見が足りなかったことを認め、それを吸収することでリカバリーを目指す。

《石田真一》

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