【インタビュー】『ハースストーン』名物開発者ベン・ブロード…禁断のボツカード案も?

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禁断のボツカード案も?『ハースストーン』名物開発者ベン・ブロードにインタビュー
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2016年12月に最新カードセット『仁義なきガジェッツァン(Mean Streets of Gadgetzan)』がリリースされたBlizzardのCCG『Hearthstone(ハースストーン)』。まったく新しいデッキアーキタイプも次々登場する環境で、プレイヤーは日々対戦に明け暮れています。

編集部は、Team 5のメンバーとして本作の開発を指揮する名物リードデザイナー ベン・ブロード(Ben Brode)氏へのビデオインタビューに參加。現在のスタンダードメタにおける課題にはじまり、開発デザイン方針やちょっとした裏話までを聞くことができました。

◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆
――昨年リリースした『仁義なきガジェッツァン』について、あらためてアイデアの背景や、それによって起こった環境の変化について教えてください。

ベン・ブロード: まず開発チーム全員でブレインストーミングをして、とにかくたくさんのアイデアを出し合いました。ガジェッツァンのコンセプトとしては、犯罪者の集まる街があり、とにかく悪くて強い奴らが勝つという無法な場所です。もとは『World of Warcraft』内に存在した、海沿いにある小さな街で、アライアンスもホードも関係なく、誰の領土でもない、アゼロスにおける犯罪組織の巣窟です。『ハースストーン』ではアイデアを膨らませて、どんな犯罪者がいるのか、どんなリーダーがいるかを考えていきました。それらのアイデアを、実際の楽しいゲームプレイシステムに組み込んでいったのです。

最も大きなゴールの一つは、それまでの環境を大きく揺さぶることでした。新しい仕組みをどんどん生み出して、『仁義なきガジェッツァン』の発売後は、実際に新しいデッキタイプがプレイヤーの間で使われるようになっています。

――今年の春に、『ブラックロック・マウンテン』『グランド・トーナメント』『リーグ・オブ・エクスプローラー』の3つがスタンダード環境から外れて、クラーケン年も終りを迎えます。新しいスタンダード環境の目指す方向やコンセプトを教えてください。

ベン・ブロード: 方向性のひとつとして、『ハースストーン』の一番の魅力は、プレイヤーの好奇心をくすぐることです。プレイヤーが自分だけの新しいデッキのアイデアを考えたり、新しいカードの可能性を探索したり。各クラスごとにも違った楽しみ方があって、遊び方は一つだけではありません。そういう方向性を強めていきたいです。

――現在、9つのクラスが用意されていますが、『World of Warcraft』に後から加わったモンクやデスナイトを追加する予定は?

ベン・ブロード: 今のところ追加の予定はありません。また、今後追加が必要だとも余り考えていません。なぜなら、既存の9つのクラスの個性や特徴をもっと引き出していくのが現在の課題であり、種類を増やすことではないからです。

――『仁義なきガジェッツァン』のリリース後、課題や問題だと感じていることは?

ベン・ブロード: そうですね、海賊デッキは少々強すぎるかもしれず、いま内部でデータを検証しているところです。今後も環境への影響が大きすぎるなら、おそらく「ちんけなバッカニーア/Small-Time Buccaneer」などのカードに、少しの調整を行うでしょう。

――ランク戦のシステムを改善する予定は?

ベン・ブロード: ランク戦のシステムは改善の余地があると思っています。特に、初心者のプレイヤーが対戦した時に、相手があまりにも強すぎたり、カード所持数が多すぎるといったことがないようにしていきたいです。

――「炎の王ラグナロス/Ragnaros the Firelord」のような強力なカードを、クラシックからワイルドに落とすというアイデアが海外メディアで報じられていましたが、それについて説明をお願いします。

ベン・ブロード: 具体的な計画があるわけではありません。一つ言えるのは、スタンダード環境が、毎年毎年、新鮮で楽しくてエキサイティングな場であるべき、ということです。それを果たすために何らかの調整は必要で、我々は過去にも複数のカードをNerfしてきました。ベーシックカードやクラシックカードが強力すぎると、新しいカードセットによってメタを変えるのが困難になってしまいます。スタンダード環境を活性化させるために、既存のクラシックカードが妨げにならないかを注視する必要があります。もし強すぎるカードがあるなら、Nerfするか、クラシックから除外するか、2つのやり方があります。

――今後も環境は変化し続けて、初心者にとっては複雑になってしまう懸念もあります。それについてはどうお考えですか? 何かアドバイスは。

ベン・ブロード: 初心者にとってカードのバリエーションが膨大にならないよう、スタンダードフォーマットが存在します。『ハースストーン』はFree-to-Playで、お金を払わなくてもレジェンダリーランクに到達するのは不可能ではありません。実際のところ、カードの所持数よりも、ゲームメカニクスを理解したり、プレイフィールを身につけることが、上達のために大変重要です。

――過去にベンさんがデザインしたカードで、クレイジーすぎてボツになったものはありますか?

ベン・ブロード: いっぱいあります(笑)。カードをデザインする上で重要なのは、限界やギリギリのラインを探ることです。初期セットをデザインしていた時にボツになったのは、0マナ、1/1で、試合に連続して負ける度に+1/+1されていく(1度でも勝つとリセット)というミニオンでした。他には、対戦相手がマウスカーソルをあわせるだけでダメージを与えるカードのアイデアもありました。

――ゲーム内で、複数のプレイヤーが同時に參加できるような、ミニトーナメント型のモードを実装する予定やアイデアはありませんか? また、酒場の乱闘(Arena)をフレンドと練習で対戦できるようにならないでしょうか?

ベン・ブロード: どちらのアイデアもすごくクールで、個人的にも気に入りましたが、今のところ発表できるものはありません。

――本日はありがとうございました。

禁断のボツカード案も?『ハースストーン』名物開発者ベン・ブロードにインタビュー

《Rio Tani》

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