【インタビュー】自動車からスポーツ選手まで、遠隔センシング・制御が実現する未来とは…アプトポッド坂元社長

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アプトポッド代表取締役 坂元淳一氏
アプトポッド代表取締役 坂元淳一氏 全 9 枚 拡大写真

アプトポッドは、IoTクラウド基盤と通信機能を搭載したデータロガーを開発している企業だが、クラウドと独自の高速双方向通信を組み合わせ、車のセンシングと制御を統合管理できるソリューションも持っている。コネクテッドカーやレベル3以上の自動運転では欠かせない技術のひとつだ。

1月18日から20日まで開催された「オートモーティブワールド2017」の会場で、アプトポッド代表取締役 坂元淳一氏に話を聞くことができた。アプトポッドが展開するソリューションはどのような技術によるものか、そして同社がめざすものとは。

◆チャレンジングな仕事をしたい

小学生のころからコンピュータを使っていたという坂元氏は、マイクロソフトで働いたあとアプトポッドを起業した。ソフトウェアの受託から事業を始めたそうだが、「チャレンジングな仕事をしたい」(坂元氏)として、主にソフトウェアのプロトタイピングやスマートシティの実証実験などに参画した。

とある実証実験への参加がM2M(当時はIoTという言葉はなかった)ビジネスを始めるきっかけとなり、Visual M2Mという同社のソリューションにつながっている。Visual M2Mは、CANに接続するデータロガーに通信モジュールを内蔵させ、クラウドに直結させたものだ。公道実験で走行中の車の状態モニタリングやリモートデータログするために開発した。

通信モジュールは、3G、LTEなどモバイルネットワークを利用する。方式やキャリアは問わないので、モジュール部分を入れ替えれば海外のネットワークも使うことができる。実際に導入しているメーカーによっては、輸出している車のデータを日本でモニタリングするために利用しているそうだ。

クラウド基盤はAWSを利用しているが、「クライアントごとにインスタンスを分離させたり、CAN上のデータIDに関するdbcファイルなどの機密データはクライアント側で管理できるようにしたり、自動車メーカーのニーズに配慮しています」という。なお、データロガーが外に送信するデータは暗号化され、インターネット上の通信もサーバー証明書、サービスアカウント認証によって保護される。

面白いのは、Visual M2Mの監視画面をユーザーが任意にデザインできるようになっていること。モニタリングするデータ、グラフやメーターなどの表示方法、大きさ、位置などを画面操作で設定できる。

◆「遠隔センシングと制御」が可能にする自動車の未来

近年、力を入れているもうひとつのソリューションは「intdash」といい、「独自の双方向通信プロトコルにより、車のセンサーデータのモニタリングと、クラウドサーバーを経由した遠隔制御を可能にするソリューションです」と坂元氏は説明する。通常、短周期データのセンシングと制御を同時に行おうとすると、別々のプロトコルを実装する必要があり、限られた通信帯域を圧迫するため、同時実現は難しい。

intdashは、自動車側の様々なセンサーネットワークに対応可能だ。採用メーカーが、任意の車載器、センサー、制御ECUを使ってシステムやサービスを設計できる。センサーや制御は自動車コンポーネントでなくてもよい。実際、会場ではスマートシューズを利用して、足の動きを9軸でモニタリングするデモが行われていた。「安全運転支援で求められているドライバーの挙動把握やヘルスチェックなどヒューマンセンシングの自動車分野への応用を考えています」という。

車の状況を把握しながら、制御ができるということは、コネクテッドカーの自動運転支援、無人カーの機能としての応用が広がる。モビリティサービスを提供するようなプロバイダーは、無人カーをリモートで介入操作したいときもあるだろう。自動運転カーでバレーパーキングをリモートで行いたい場合、カメラ映像を含む車両のモニタリングと遠隔制御があると便利だ。

ヒューマンセンシングへの拡大も視野に

しかし、これらの応用は自動車関連だけにとどまらないと坂元氏はいう。

「実際、intdashは重機メーカーも関心を寄せていて、いわゆるi-Constraction対応に採用検討いただいているところもあります。ドローンの遠隔制御、無人倉庫でパレットやフォークリフトの制御も可能です。介護分野ではロボティクスの応用が進んでいますが、介護ロボットやアシストスーツへの応用も考えられます。リアルタイムで常時監視が可能なため、心電計等の短周期データのモニタリングもできます。メンタルヘルスケア分野での導入事例もあります。サービス領域でも様々な応用ができると考えています」

さらに面白い事例が、スポーツの練習における活用だ。

「オリンピックを目指す選手の練習に実験的に使って頂いているんです。スマートフォンの加速度センサーの情報から、体軸を読み取ることができるんですが、これをトランポリンなどの選手の練習に活用頂いています。リアルタイムで情報を取得できるので、例えばコーチが海外にいるような場合でも、日々の練習の中で選手がどのように変化したかを見ることができるというわけです。スマートフォンのセンサーはかなり優秀ですから、複雑でかさばるセンサーを身体につける必要もない。回転を要する競技には最適ですね」

可能性は尽きないが、コネクテッドカーへの応用については、すでに複数メーカーと研究開発に協力しているという。今後はさらにヒューマンセンシングの応用も視野に入れながらも「自動車業界は主戦としてやっていきたい」と坂元氏は話す。「普及時の総合的なスケーラビリティやセキュリティに関する課題もありますが、センシングと制御をまとめたソリューションを提供できるところはまだまだ少ない。海外を含むさまざまなメーカー、企業様と一緒にチャレンジして、それらを打ち破っていけたら」と語ってくれた。

《中尾真二》

テクノロジージャーナリスト・ライター  中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。現在はWebメディアを中心に取材・執筆活動を展開。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から利用し、ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。エレクトロニクス、コンピュータのバックグラウンドを活かし、自動車業界についてもテクノロジーを中心に取材活動を行う。

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