【VW パサート Rライン 試乗】ステーションワゴンのあるべき姿を見た…中村孝仁

試乗記 輸入車
VW パサートヴァリアント Rライン
VW パサートヴァリアント Rライン 全 17 枚 拡大写真

VW『パサート』に高性能を示す「Rライン」が設定された。と言っても以前からあるRラインとは異なり、エンジンは従来の1.4リットル150psから2リットル220psへとジャンプアップした。

そもそも、正直なことを言えば1.4リットルでも十分な性能を発揮してくれていた。それが2リットル220psとなって、さらに最大トルクは350Nmを1500~4400rpmという広い範囲で発揮してくれている。というわけで、性能面で不満などあろうはずもない。2リットルでもまだ役不足だというあなた、最近ではマッスルカーで名が通るシボレー『カマロ』だって2リットル4気筒エンジンを積む時代です。少なくともパフォーマンスには文句付けちゃいけません。

で、実際乗ってどうかというと、日本の一般道路で流れに乗って走っている限り、正直言うとその恩恵にあずかることは少ない。今回このクルマで東京‐下田間を往復してみたが、高速道路で本線への流入のほんの一瞬だけ、2リットルのパンチが確認できたが、あとは1.4リットルでも2リットルでも日常使用で大きな差が生まれることは少ない。つまり、このパフォーマンスはあくまでも保険的な色彩が強いというわけである。勿論敢えて、日常的ではなく、攻めのドライビングをした場合はこの限りではない。

RラインはアダプティブシャシーコントロールDCCを標準装備するから、お好みのダンピングモードに切り替えて走りを堪能することが出来る。勿論ステアリングもきちっとした操舵感を与えてくれているので、今回試乗したワゴンボディでも思いのほかスポーツドライビングを堪能できた。それにしても快適なクルマである。大きさから来るゆとりもあるし、しなやかな印象はさすがVWのフラッグシップの面目躍如である。

ヴァリアント(ワゴン)のテールゲートは電動で開閉が可能。そしてラゲッジスペースの広さはパサートの大きなウリと言っても過言ではない。リアシートを使用した状態でもその容量は650リットル。リアを倒して最大のラゲッジスペースを確保すれば実に1780リットルを確保できる。スタイリングを優先している最近のワゴンモデルの中では秀逸な存在といえよう。そもそもワゴンが何のために必要なのかを考えれば、パサートのようなモデルが本来あるべき姿だと思うのは僕だけだろうか。

最近VWでは新しいインフォテイメントシステム、Appコネクトを売りにしている。このシステム、インフォテイメントシステム自体の名前はディスカバー・プロというようだが、何が特徴かというと、アップルのカープレイなどに対応するのは当然として、グーグルの検索機能や、グーグルのストリートビューなどがナビ画面で見ることが出来る点にある。それ自体は大変素晴らしいことなのだが、使用方法は中々難解であった。

従来のナビゲーションと大きく異なるのは、住所などを文字入力する際にいちいちスペースキーを打たなくてはならないこと。例えば「静岡県-スペース-下田市スペース…」といった具合で、この入力操作をしないと、住所を普通に入力してもナビは反応してくれないのである。このことを知らなかったから、ナビは住所入力を受け付けず、さらには施設検索をしても有名な三島大社ですら出てこないといった状況であった。返却の際にようやくスペース入力をしないとダメだということが判明して理解したが、最新のシステムはこの種のデバイスを熟知していないと使いこなすのは難しい。むしろ音声入力を積極的に使った方が、優しく使えるようだが、それもまだまだ普及の道半ばという印象が強い。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
おすすめ度:★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来39年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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