【MINI クロスオーバー 新型】上級セグメントに移行、その理由は?

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MINIクロスオーバー新型
MINIクロスオーバー新型 全 24 枚 拡大写真

フルモデルチェンジしたMINI『クロスオーバー』はこれまでのBセグメントからCセグメントに移行するとともに、サイズやクオリティ面でもセグメントアップに相応しいものになったという。

今回のフルモデルチェンジの一番のポイントについて、ビー・エム・ダブリュー(BMWジャパン)MINIディビジョンプロダクトマーケティングマネージャーの岡田信之氏は、「サイズやクオリティ面で、BセグメントからCセグメントにアップしたことが一番大きい」とし、「拡大したボディサイズや、高められた機能性、居住性、新世代のエンジンで、車の効率を改善させたり、乗った時のクオリティも音も含めて格段に向上させている」と述べる。

■エクステリアデザイン:MINIらしさとSUVらしさを融合

フロントデザインの特徴は、「楕円形のヘッドライト、六角形のラジエーターグリル、丸型のフォグライトなど、一目でMINIとわかるデザインディテールを採用している」と説明。その一方でSUVらしさを強調するために、「ヘッドライトはよりスクエアで力強さを感じさせるデザインを採用した」という。

サイドでは、「ルーフ、キャビン、ボディとデザイン要素が3つに分かれたMINIならではのデザイン要素を採用しつつ、SUVらしくルーフレールとサイドシルにシルバーのアクセントを取り入れた」。ルーフレールは、「最近はルーフと一体化したより目立たないクルマが多いが、クロスオーバーはあえてルーフから独立した形状にすることで力強さ、SUVらしさを表現している」と述べる。

また多くのMINIモデルでは、車体サイドにキャラクターラインを入れず、曲面を重視したデザインだが、クロスオーバーの場合は、「ヘッドライトからフロントフェンダーを抜け、一度サイドシルまで下がった後、リアフェンダーへ抜けるキャラクターラインをあえて入れることで、前後フェンダーを強調し、筋肉質な男性的な力強さ、そして、しっかりと地面をとらえた安定感を表現している」と話す。

更にリアフェンダー周りのプレスラインは「カスケーディングラインを強調している」と岡田氏。このカスケーディングラインとは、「ルーフからガラスエリアとショルダーの部分への流れを指し、上から滝が流れ、ショルダーにあたってまた流れるようなMINIならではの特徴だ」と説明。

リアではライセンスプレートがバックドアの中に内蔵された。「これは伝統的な3ドアモデルとデザインの共通性を持たせている」とした。

ボディサイズは、プレミアムコンパクトセグメント(Cセグメント)に相応しいサイズということで従来モデルよりも全長で約20cm、全高で約5センチ拡大している。

■インテリアデザイン:これまでのMINIデザインを踏襲しつつ広さ、使い勝手向上

インテリアでもこれまでのMINIにつながる円形や丸型のモチーフが多く取り入れられた。具体的には、「メーターやダイヤルはもちろんのこと、センターディスプレイやドアハンドルにも円形を採用している」と岡田氏。

一方、クロスオーバー専用のデザインもある。エアコンの吹き出し口などは、「あえて四角、よりスクエアな形状にすることで、ヘッドライトと同様より力強さというものを表現している」という。また、この吹き出し口や円形のデザインモチーフには クロームのリングが多用されており、これは、「伝統的な上質さを表現している」とコメントした。

今回ホイールベースを延長したことで、後席足元が従来モデルよりも拡大した。「レッグルームで約5cm 拡大し、リアシートはリクライニングや前後スライド機構を採用。エアコンベントも標準装備されているので、リアシートは快適に過ごすことが出来る」と先代よりも後席を重視したことを強調する。

ラゲッジルームは、テールゲートオープナーのイージーオープナー機能を採用したことで、両手がふさがった状態でも足をかざすだけでオープンにすることが可能になった。そのラゲッジ容量は450リットルと、従来モデルよりも100リットル拡大している。

もうひとつラゲッジ部分で大きな特徴がある。それはピクニックベンチだ。ラゲッジルームに収納され、リアバンパー部分に垂れ下げて利用するものだ。「スキーなどでブーツに履き替えて靴をクルマに置いていく時に、ラゲッジ部分に腰かけて履き替えたい時がある。しかし、バンパーはスキー場に着く頃には汚れてしまっている。その時にこれがあるとラゲージルームに座ってブーツを履き変えることが可能だ」と想定シーンを紹介した。

また、クロスオーバーはルーフレールがあるので、アタッチメントでスキー板を乗せることが可能だ。しかし、「セキュリティ面や板が汚れるなど気になることもあるだろう。そこで、リアシートが40:20:40に分割可倒なスルーローディングシステムを採用しているので、室内にスキーやスノボの板を入れたまま4人乗車が可能だ」とした。

■セグメントアップでダウンサイザー獲得へ

では、新型クロスオーバーは、MINIの中ではどのようなポジショニングなのか。岡田氏は、「現行MINIのラインナップは、2014年に3ドアモデルが登場し、そののち5ドアモデルを追加、そして昨年には『コンバーチブル』を導入した。これらのモデルが我々プレミアムスモールセグメント(Bセグメント)と呼んでいる」とし、プレミアムコンパクトセグメント(Cセグメント)には、「2015年9月に『クラブマン』が初参入。新型クロスオーバーもプレミアムコンパクトセグメントのSUVとして発売する」と位置付ける。

そして、クラブマンとの住み分けは、「ジェントルマン、紳士的で成熟した大人の魅力というものがキャラクターのクラブマンに対し、クロスオーバーはアドベンチャラー、冒険家、冒険心といったアクティブなライフスタイルを好むキャラクターだ」と明確な違いを持たせた。

ターゲットユーザーも、「アクティブに出掛け、自然に触れ合う。家族や一人、あるいはパートナーと出掛ける方を想定している」という。

そのユーザー層はセグメントアップとともに若干変わると予想する。「より年配の方になるケースが出てくるだろう。これまでクロスオーバーは若いユーザーを多く獲得していたが、最近では5ドアなどが出たこともあり、MINIの5ドアモデルが欲しいという層が分散する」と予想。そこで、「よりクロスオーバー、あるいは“SAV”でなければだめだというユーザーが増えてくるだろう。クロスオーバーは価格がアップしたこともあるので、それほどクルマにお金をかけない人であれば5ドアという選択肢もあるからだ」と分析。

更に、セグメントアップしたことから、「これ1台でまかなえるクルマになったので、ダウンサイザーが増えるだろう。そこで、そういった方にもインテリアのクオリティについて満足出来、室内の広さもたまに5人乗る時も大丈夫なように仕上げた」。

また、走りの面でも、「これまで3リットルなどに乗っていた人は、1.5リットルガソリンに対して、ちょっとトルクが足りなくていつもエンジンをたくさん回して乗るというイメージがあるかもしれない。しかし、クリーンディーゼルであればその問題はなくなるなど、ダウンサイザーも多く獲得出来ると期待している」と、このクロスオーバーにより、ユーザー層の拡大が見込まれていることを語った。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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