【ジャパンボートショー2017】自動車メーカーだからできるボートづくり…トヨタ自動車

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【ジャパンボートショー2017】自動車メーカーだからできるボートづくり(トヨタ自動車ブース)
【ジャパンボートショー2017】自動車メーカーだからできるボートづくり(トヨタ自動車ブース) 全 18 枚 拡大写真

ジャパンインターナショナルボートショー2017.初日にはボートオブザイヤー2016が発表され、トヨタ自動車の『ポーナム28V』が受賞した。

自動車メーカーとしては世界をけん引する存在のトヨタ自動車。満を持した、まさに大船に乗ったコメントが聞けるのではと思いトヨタ自動車ブースを訪ねたが、そこで垣間見たのは貪欲な挑戦者の素顔だった。

ボートオブザイヤー、おめでとうございますとブースの担当者の方に申し上げると「国内でもヤマハさん、ヤンマーさんなど、先駆的なメーカーに比べたら私たちの挑戦は始まったばかり。海外に目を移せばさらに長い歴史と高い技術を有するメーカーさんはたくさんあります。そんな中では、私たちにしかできないこと、私たちだからできることをしていかなくてはならない。トヨタがマリン事業をスタートして20年目、ポーナム28Vは気合を入れて作りました。その意味では、栄光を手にしたという以上に、ようやくメーカーとして認めて頂けたような気がしました」と話していた。

技術的にも意欲的だ。「ヤンマーさんとの間で協業をするという発表をして、FRP、アルミ、カーボンファイバーの3種類の素材で構成したハイブリッドハルを発表したのもこのボートショーの場でしたが、このポーナム28Vで実用化しましたし、一基掛けエンジンでは世界初の、バーチャルアンカリングシステムもお選びいただけ、クラスを超えた価値を盛り込んでおります」。しっかりとリソースや環境を結実させている印象だ。

また「金属でボディを構成する自動車を作ってきた私たちにとって、船づくりだから発揮できる機動的な開発進行もあると思っています」と話す。

「金属部品は金型を作るところから始めます。大変な時間と費用が掛かるわけです。しかし、FRPなどで構成される船づくりは全くことなります。このことはもちろん難しさもありますが、クルマよりも小回りの利く開発ができるという風にとらえることができました。例えばデザインなどからパーツ構成まで、クルマの開発で培ったVR(バーチャル・リアリティ)検討などを取り入れて行いました」

開発期間の短縮と、より多角的な検討ができ、自動車の開発で用いられたノウハウ、開発手法があったからこそのものだという。

「実はポーナム28V、私たちの作ってきた船ではかなりコンパクトなモデルです。コンパクトな方がデザインが難しいのはクルマでもボートでも同じ。流麗で、伸びやか、ダイナミック、おおらかなデザインを、よりコンパクトな船体に盛り込むのは、かなり難度の高いことでした」

「サイドウィンドウの後端をブラックにして、風景と一体化させることで流麗さを表現していた、今までのデザインモチーフをしっかりとキャラクタライズするために、サイドウィンドウ上部はなだらかな弧を描かせ、下の部分は後方を一段下げました。これによりキャビンを大きく見せています」

「また全体を長くみせるために、ガンネルから上の部分で、平面ラインを活かした豊かな曲面を組み合わせています。このあたりも、VR検討段階から光の印影などにもこだわってデザインしてきました。ポーナム28Vが専門誌でもデザインを高く評価されている点は大変うれしい限りですね」

会場には、先ごろマイアミで発表された、ラグジュアリークーペのレクサス『LC』用5.0リットルV8エンジンを搭載した、オープンクルーザー「スーパーヨットコンセプト」の模型や、依然根強い人気を誇るトヨタマリンの代表的モデル『ポーナム31』の実艇も展示。多くのファンの注目を集めていた。

《中込健太郎》

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