NEDO、国内初の洋上風況マップを作成…希望に合う最適な洋上風力発電の場所がわかる

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NEDOが作成した洋上風況マップ「NeoWins」
NEDOが作成した洋上風況マップ「NeoWins」 全 4 枚 拡大写真

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は3月23日、国内初となる洋上風況マップを同日公開したと発表した。「NeoWins」と名付けられたそれは、風況状況など洋上風力発電を計画するうえで必要なものを一元化したもので、希望に合う最適な場所が見つかるという。

「NeoWinsは高精度の数値シミュレーションによる洋上の風況情報に加えて、水深や生物生態、海底地質などの自然環境情報、港湾区域や航路、自然公園などの社会環境情報など洋上風力発電導入を検討する際に必要な日本近海のさまざまな情報を一覧的にまとめたものです」と新エネルギー部統括研究員の伊藤正治氏は説明する。

なんでも網羅されている情報は伊藤氏が説明したものを含めて30以上にのぼり、検討海域がどういった区域に当たるのか一目で確認できるという。しかも、500mメッシュで把握できるほどの精密さを誇り、沖合30kmまでの海域を包含するように計算領域が設定されている。高度についても60m~140mまで20m単位で風況がわかるようになっている。

会見では実際にデモンストレーションが行われ、ある区域の海上にカーソルを持って行きクリックすると、過去20年間のデータを元に算出された風向き、風速階級別出現頻度、月平均風速、年平均風速などのグラフが出てきた。そして、発電電力量のボタンを押すと年間の発電電力量が表示された。

また、別の項目をクリックしたら、その場所が珊瑚礁地域であるとか、米軍演習区域とであるとかも確認できた。もちろん、正確な緯度経度も表示され、陸上からの距離もわかるようになっている。

「銚子沖と北九州沖で行っている洋上風況観測実証事業などで得られた実際の観測データと比較しても、その誤差は±5%以内でした。このことからも、NeoWinsは高シミュレーション精度を誇っていると言っていいと思います」と伊藤氏は自信を見せていた。

NEDOは名前からもわかるように新エネルギーを開発するという使命を持っている。特に再生可能エネルギーの開発に力を入れており、これまでプロジェクトを通してさまざまな新しい技術が生まれた。

その中で、風力発電の導入拡大には洋上風力への展開が必要と判断。そこで重要と考えたのが洋上風力発電のさらなる低コスト化だった。「低コストで信頼性の高い洋上風力発電を実現するためには、洋上の風況はもちろんのこと、自然環境情報などを正しく認識する必要があった」と伊藤氏。

 そして、2年の歳月をかけてNeoWinsを作成した。このマップはNEDOのホームページで誰でも見ることができ、これから洋上風力発電事業を検討する事業者や自治体にとって有り難いツールになるのは間違いないだろう。

《山田清志》

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