小型車やミニバンでもピレリタイヤ…チントゥラートP6 は日本・APAC市場向けに開発

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ピレリ・チントゥラートP6
ピレリ・チントゥラートP6 全 14 枚 拡大写真

28日、ピレリジャパンは2017年のモータースポーツ活動の概要説明と、4月1日より発売される『チントゥラートP6』の発表会を開催した。新しいタイヤは、中国で製造されるが、小型車のサイズが設定されるなど日本市場のニーズを意識したタイヤだという。

昨年9月にピレリジャパンの代表取締役社長 CEOに就任したディミトリオス・パパダコス氏が、発表会の挨拶で「プレステージカーのおよそ50%、プレミアムカーの20%がピレリのタイヤを採用している」と語るように、ピレリといえば、高級輸入車、それもフェラーリやランボルギーニ、マセラティ、ベントレーといったプレステージカーのタイヤというイメージがある。

そのピレリが新しく国内市場に投入するタイヤ、チントゥラートP6は、175/64/R14から215/50R17まで21サイズのラインナップで発売される。つまり、軽自動車やミニバンにも対応するタイヤだ。しかもラベリング表示でAbの認証がとれたということで、エコタイヤとしての特性も備えている。

もっともピレリでは「エコタイヤ」という呼称は使わず、「グリーンパフォーマンス」という性能のひとつというスタンスだ。今回チントゥラートP6がラベリング表示に対応したのも、トータルのバランスを追求した結果であり、エコタイヤを意識して開発したわけではない(プロダクトマーケティングマネージャー市川仁氏)という。

ドライ、ウェット性能、静粛性を向上させるため、タイヤの構造を見直し、サイドウォールを2プライ構造とし耐久性を高め、トレッド面のスチールベルトの継ぎ目を無くす工夫を施し、接地が均一になるようにした。縦溝もピッチを非対称にしたり、溝の幅を変えること、横溝のピッチと形状を工夫することで、静粛性と乗り心地を改善している。また、ゴムの耐久性やライフを変えずに、溝の深さを浅くすることで、タイヤの軽量化、転がり抵抗削減を実現した。フルシリカコンパウンドと独自開発の柔軟剤でウェット性能とゴムの耐久性を上げた。

市川氏によれば、ラベリングのAb対応はその結果ということだ。

ピレリは、プレステージカー向けには『P-ZERO』や『チントゥラートP7』といったハイパフォーマンスタイヤを持っている。『86/BRZ』、レクサス、アウディ『RS3』のようなスポーツカー向けには、昨年発表した『DRAGON SPORT』というシリーズを展開している。チントゥラートP6は、『アクア』、『フィット』、『プリウス』、『セレナ』、『CX-3』といった日常の車、一般的なファミリー層が主なターゲットとなり、これまであまり注力していなかった領域だ。

しかしパパダコス社長が「日本はアジアパシフィックでも重要な市場のひとつ」というように、ピレリの指名買いのユーザーや、高級車の採用タイヤ以外の市場を意識した戦略タイヤといえるだろう。昨年ブリヂストンが『レグノ GRレジェーラ』で軽自動車向けのサイズを投入して話題になったが、今回のチントゥラートP6は、この市場セグメントに真っ向勝負を挑んでいるようにも見える。

この疑問に、市川氏は「軽自動車にも高いバランスのタイヤを提案するものだが、ピレリの考えるバランスは、環境性能だけでなく、高い運動性能(ブレーキ性能や応答性)による安全性の高さに現れると思っている。そのため、ラインナップの速度規格はH/Vとしている。」と答える。

なお、チントゥラートP6の発表、詳細説明の前には、ピレリジャパンの2017年モータースポーツ活動のアナウンスがあった。1907年に北京-パリレースを1位でゴールしてから今年は活動110年目に入り、年間224の選手権でタイヤ供給を行っている。4輪ではF1に新しい素材、構造のタイヤを投入することが発表された。アジアパシフィックでの活動はマカオグランプリ、アウディR8 LMSカップ、フェラーリチャレンジ、ランボルギーニ・スーパートロフェオにもタイヤ供給を行うという。

2輪は、主要メーカーが欧米でもトップメーカーであり、ピレリとしても注目しているカテゴリだとし、全日本ロードレース選手権、鈴鹿8時間耐久ロードレースに取り組む予定だ。またモリワキエンジニアリングと複数年のパートナーシップ契約を結んだという。新しいパートナーシップで、簡単な決断ではなかったが、これらのレースはタイヤのサイズ規定が16.5インチから17インチに広げられたため、ピレリが先行する17インチホイールによって有利な戦い方ができると自信をのぞかせた。

《中尾真二》

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