まだ中学生の大賞受賞者にプロも大注目!…第5回カーデザインコンテスト

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最優秀賞である「カーデザイン大賞」の表彰を受ける青木智志くん。
最優秀賞である「カーデザイン大賞」の表彰を受ける青木智志くん。 全 7 枚 拡大写真

「カーデザイナーを目指しています」と明言する青木智志くんは、北海道・苫小牧の中学3年生。公益社団法人・自動車技術会が主催する「第5回カーデザインコンテスト」で、応募4回目にしてついに最優秀のカーデザイン大賞を射止めた。

自動車技術会のデザイン部門委員会(メーカー各社のデザイナーで構成)が、次世代のカーデザイナーを発掘しようと「カーデザインコンテスト」を始めて今年で5回目になる。青木くんは小学生のときにこれを知って応募したが、中高生を対象とするコンテストなので審査対象外。中学生になってあらためて応募した第3回コンテストで中学生部門「カーデザイン賞」を受賞した。

受賞すると表彰式に招かれるだけでなく、表彰式の後にはプロのカーデザイナーからマンツーマンでスケッチの描き方を教えてもらえる。初めてプロに接したその経験が、青木くんのやる気に火を付けたようだ。

「受賞できたらスケッチ講習を受けられ、自分のスキルを高めることができる。だから応募しています」

青木くんは中学2年生になった昨年も応募し、中学生部門「カーデザイン賞」を連続受賞。ただし高校生を含めた全応募作品のなかでトップに立つ「カーデザイン大賞」は、他の中学生の手に渡った。

このカーデザインコンテストで中学生が「大賞」を得たのは、それが初めて。同じ中学生として青木くんは「ちょっと悔しい部分もあった」としつつ、「まだやれることがある、ということ。課題が残った」と振り返る。

そうやって捲土重来を期して応募した今年だが、「実は不安だった」。無理もない。中学3年生だから、高校受験を控えての応募だったのだ。受験勉強の合間にアイデアを練り、スケッチを描いた。そして地元の高校に合格し、コンテストでは念願の「カーデザイン大賞」を受賞。言わばダブルの栄冠を手にした。

「4歳からクルマの絵を描いていた」という青木くんは、「実は子供の頃はWRCのラリードライバーになるのが夢だった」という。そのきっかけを聞くと、周囲を気にするような様子で少し口ごもった。コンテストの表彰式には各自動車メーカーからデザイナーが来ている。「具体的なメーカーを言うのは……」と、そんな気遣いもできる中学生なのである。

「ラリードライバーになるのは無理だと思ったけれど、クルマが好きだし、自分の思いをカタチにすることに魅力を感じていたので、カーデザイナーになりたいと考えるようになった。工業デザインのなかでも、やはりカーデザインを目指したいですね」

小学生で審査対象外になったときも含めて、青木くんは一貫してスポーティなデザインを応募してきた。「応募作品はそうですね。でも、家ではいろいろなデザインを描いているので、どこかでスポーツカーから離れたものを考えるのもありかな、と思っています」

大賞を取ったからといって、これで終わりではない。高校生になった来年も、きっと応募してくれるだろう。青木くんの今後の成長には、デザイン部門委員会のプロたちも期待している。

そうは言っても、まだ中学生。夢を実現するまでには、これから超えなくてはいけないハードルがいろいろある。しかし青木くんはしっかりと自分の未来を見据えているようだ。「もしカーデザイナーになれたら、どんなデザインをやりたいか」と問うと、力強くこう答えてくれた。「ここにいるプロの人たちも驚くようなデザインをやりたいです」。

《千葉匠》

千葉匠

千葉匠|デザインジャーナリスト デザインの視点でクルマを斬るジャーナリスト。1954年生まれ。千葉大学工業意匠学科卒業。商用車のデザイナー、カーデザイン専門誌の編集次長を経て88年末よりフリー。「千葉匠」はペンネームで、本名は有元正存(ありもと・まさつぐ)。日本自動車ジャーナリスト協会=AJAJ会員。日本ファッション協会主催のオートカラーアウォードでは11年前から審査委員長を務めている。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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