【ボルボ S90 試乗】ボルボを買うなら最上級がお買い得…中村孝仁

試乗記 輸入車
ボルボ S90
ボルボ S90 全 11 枚 拡大写真

ボルボのフラッグシップモデル『S90』に乗った。最近のボルボはどれもこれも皆ウェッジの効いた流れるようなデザインを持っていたが、こいつは違う。でもスタイリッシュだ。

【画像全11枚】

ボルボといえば昔は皆、四角四面で水平基調の強いデザインばかりだった。その水平基調という点では、まさに先祖返り。それだけではない。まだFR車しか作っていなかったボルボの大きな特徴は、大きなボディを持ちながらお値段中級で立派に見えてお買い得感が強い。そんなポジショニングのクルマである。現にボルボ『240』などは如何にも大柄なボディを持ちながら、エンジンは2.1リットル4気筒。で、お値段はというと、同クラスのライバルよりはだいぶお安い設定という立ち位置だった。

新しいS90、妙に大きく見える。しかし現実的には最新のBMW『5シリーズ』とほとんど大差ない。単に数値だけではそういうことだが、実際の見た目はどう見てもデカい。色々考えた末に行きついた結論は、そのデザインだ。

このクルマ、ライバルのBMWをはじめとしてメルセデス『Eクラス』やアウディ『A6』などと比較して、前後の絞り込みが極端に小さい。つまりプランビューで見た時はかなり四角いわけである。そしてウエストラインを比較的高めにとって、厚みを出したデザインを持つ。こうした視覚的効果が、クルマを大きく見せているのだと思うわけである。正直、個人的にはこれが本来のボルボらしさだよな…という思いがある。だからここでも先祖返りだ。お値段の方も今や下で比べると、ライバルとさほど大きな違いはないが、上は依然として安い。だからボルボを買うなら最上級がお買い得…ということになるわけだ。

昔と全然違うのは内装。昔は正直そっけなかった。でも今はとても豪華で、ドイツ製とは違う個性もある。特に色使い。どちらかといえば暖色系を好んで使うボルボのインテリアは、それだけで温かみを感じる。一度でもスウェーデンを訪れたことのある人なら、ホテルの調度に木を多用して温かみを出していることに気付いたはずだ。やはり寒い国ならではの色使いや素材使いを感じられる。今回は特にウッドパネルの仕上げに「オープンポア」という手法を使い、それは素材の風合いを活かしつつ、丈夫に仕上げる独特でなかなか難しい工作方法を敢えて使っているそうだ。

メカニズムに関しては今後のボルボに新鮮さはあまり期待できない。というのも、すでにボルボは4気筒以上の気筒数のエンジンは作らないと宣言し、このクルマも直列4気筒に過給器という、すでにデビューしている『XC90』と全く同じエンジンに、これまたXC90と同じ8速ATを組み合わせている。今回試乗したモデルはT6と呼ばれるターボとスーパーチャージャの両方を持つツインチャージャーと、4WDの駆動方式を持つモデル。この仕様もXC90に存在したものだ。

例によって、センターコンソールにつくスターターノブを右に回してエンジンをかける。プッシュスタートでないところに、他と違うこだわりを感じさせる。4気筒ながらファーストアイドルは非常にスムーズでエンジンを意識させないが、いざスタートして比較的強めにスロットルを開けると4気筒独特のノイズが侵入し、少々高級感がスポイルされた。でもその傾向は世界的に同じで、つい最近乗ったBMWのフラッグシップ『740e』も、やはり同じような音がした。フラッグシップでも今や4気筒が普通に搭載される時代なのである。ただ、向こうは他に多気筒エンジンのチョイスが有るところが大きな違い。やはりそこは生産台数の限られた小さなメーカーの宿命か。

今回チョイスしたモデルは、リアにグラスファイバーの横置きリーフスプリングを持つノーマルサスペンションの仕様だ。因みに構造的にはフロントがダブルウイッシュボーン、リアはマルチリンクである。リーフスプリングと聞くと何となく、古臭いイメージを持つ人がいるかもしれないが、リーフをグラスファイバー化することで、軽量化とスペース効率をもたらし、ネガ要素は少ない(たぶんストローク量は取れない)。シボレー『コルベット』も同じ構造のサスペンションを持つ。

ズバリ乗り心地は少々角のあるもので、これはXC90のエアサス仕様に乗った時に感じたものと同じだった。初期フリクションが取れていない印象だから、結論は持ち越したいが、どちらかといえばストロークでいなすというよりも、揺れを瞬時に収束させる方向の味付けという印象を持つ。

2017年モデルは限定500台の販売。そこから先はもしかすると受注販売になるかもしれないと言われている。

■5つ星評価
パッケージング ★★★★★
インテリア居住性 ★★★★★
パワーソース ★★★★
フットワーク ★★★★
おすすめ度 ★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来39年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

+ 続きを読む

ピックアップ

レスポンス公式TikTok

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 三菱『パジェロ』3階層のシリーズ展開へ…軽も登場、壮大なシリーズ化が始まる
  2. 日産『セレナ』次期型は2028年登場か!? 第3世代e-POWER搭載へ
  3. トヨタのミッドシップと言えば『MR2』だが?…土曜ニュースランキング
  4. 四輪事業で苦戦のホンダ、三菱自動車からタイ生産の『トライトン』をOEM供給へ[新聞ウォッチ]
  5. 「本当なら買いたい」トヨタ『MR2』2028年復活スクープに、SNSでは期待と戸惑い
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. EU「欧州製EV」優遇へ、産業加速法を審議---売れるEVと売れないEV
  2. EV・欧州減速=日本が正しかった、では見えてこない欧州市場と中国の戦略[インタビュー]
  3. 【セミナー見逃し配信】※プレミアム・法人会員限定 欧州自動車産業の次の一手、欧州の現場で何が起きているのか~EV減速局面・SDV/AIへの移行・中国勢の浸透~
  4. NITTANのエンジンバルブ技術、インドで実証へ…経産省グローバルサウス事業に採択
  5. CASE革命と電動化、次世代の自動車部品
ランキングをもっと見る