なぜ曲がる!? 三角ボディの「日産 ブレードグライダー」、コーナリング性能がスゴい理由

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日産 ブレードグライダーに袖ヶ浦サーキットで試乗。驚きのコーナリング性能の理由とは
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日産自動車が「インテリジェント・モビリティ」を体現するモデルとして製作したスポーツEV『ブレードグライダー』のプロトタイプに、袖ヶ浦サーキットで同乗試乗する機会を得た。極端に狭められたフロントトレッドに、268馬力、707Nmの強大なトルク…スポーツカーのセオリーに従うならば、まともにコーナリングすらできないのでは、と思えてしまうがその実力は果たして。

ブレードグライダーは、2013年の東京モーターショーでコンセプトカーが発表されており、その異形が印象に残っている人も多いだろう。まさにグライダーのような三角形の空力ボディに、1+2の3人掛けレイアウト。これにEVパワートレインを組み合わせ、“滑空するように走るクルマ”をめざし開発されたという。

ボディサイズは全長4300mm×全幅1850mm×全高1300mm、ホイールベースは2800mm。見た目とは裏腹に、コンパクトな乗用車並みのサイズを持つ。5個の電池モジュールで構成する220kWのリチウムイオンバッテリーを搭載、左右後輪に130kWの電気モーターを配置。車両重量は1300kgとなっている。

特徴的な後方跳ね上げ式のドアを開いて搭乗する。後席へのアクセスは意外なほどスムーズだ。着座してみると、センターにレイアウトされた運転席のおかげで足元スペースにはかなり余裕がある。シートベルトは4点式と本格的だ。またウインドスクリーンには視界を遮るものが殆どなく、走り出すと後席や助手席に座っているというよりは運転席に座っている感覚に近い。

EVならではのシームレスな加速感は圧倒的だ。0-100km/h加速は5秒以下とされており、同じEVのテスラ『モデルS P100D』の2.7秒と比べると物足りなさを感じるスペックだが、屋根がない開放感と広く低い視界、レーシングカーのようなダイレクトな路面インフォメーションから、スペック以上の加速感を味わうことが出来る。

今回は同乗試乗のためステアリングを握ってはいないが、コーナリング性能は、意外なほどクイックでよく曲がる印象だ。極端に狭められたフロントトレッドでどう曲がるのか、前輪の操舵力をどう稼ぐのかが注目のポイントだったが、モーターで駆動する後輪へトルクベクタリングシステムを積極的に介入させることで曲がるのだそうだ。アンダーステア時にアウト側の駆動輪に大きなトルクをかけることで、クルマの向きをイン側へと導く。ステアリングはあくまできっかけに過ぎない、ということだ。ドライバーのステアリングを見ていると、修正蛇がほとんど当てられていないことが、その高いコーナリング性能を証明していた。

このブレードグライダー、市販の予定はなくあくまで「運転の楽しさを追求すると同時に環境に対する責任を果たす『日産インテリジェント・モビリティ』の拡充を目指す日産の意気込みを表すもの」とカルロス・ゴーン氏は説明しているが、EVのトップランナーとして『リーフ』に次ぐ、または『GT-R』に迫るような心躍るEVの登場に期待せざるを得ない。

今回の試乗の様子を動画でもご紹介。走り出しの高まるモーター音以外は、風切り音をのぞけばほぼ無音なのがEVスポーツカーならではの面白いところ。またステアリングに取り付けられたスピードメーターにも注目だ。

《宮崎壮人》

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