【ドライブコース探訪】九州人の心をわしづかみにする “テッちゃんぽん”の味

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ちゃんぽん響の「テッちゃんぽん」
ちゃんぽん響の「テッちゃんぽん」 全 8 枚 拡大写真

年末年始に東京~鹿児島間の3600kmツーリングを行った際、北九州の「ちゃんぽん響」という店に立ち寄った。北九州在住の知人が「北九州を通るならぜひちゃんぽん響のちゃんぽんを食べてみてほしい」と猛プッシュするので、興味が出て訪れてみたのだ。

ちゃんぽん響は福岡のローカルうどんチェーン「資さんうどん」が展開するちゃんぽん屋さんで、門司、小倉、八幡に店舗がある。訪れたのは門司の大里店。

ちゃんぽん屋さんなので、もちろん普通のちゃんぽんはある。筆者は蕎麦なら盛り蕎麦、ちゃんぽんならトッピングなし等々、まず基本形から試す習癖があるのだが、知人が強烈にリコメンドするのはモツ入りの「テッちゃんぽん」。それほど言うのならと、てっちゃんぽんとやらをオーダー。すぐに大盛りを頼みたくなるのを抑えて、ノーマルサイズを頼んでみた。

店内に貼り出された紹介文によれば、テッちゃんぽんは普通のちゃんぽんの汁とうどん汁のハーフアンドハーフらしい。しかも「もつの大トロ『牛テッチャン』使用」なのだそうだ。一体どんな味なのかと想像しつつ待つこと約10分。出てきたのは、とりあえず普通のサイズにしておいてよかったと思うくらい盛りの良いちゃんぽん。具は通常のちゃんぽんの豚肉を牛モツにリプレイスしたものだ。

れんげで汁をひと口すすってみる。ちゃんぽん汁とうどん汁の混合ということで、普通よりあっさりしているのかと思いきや、モツのエキスがたっぷりにじみ出ており、めちゃくちゃ濃厚に感じる。これはうまい!濃い味になじんだ九州人の心をわしづかみにする味だ。麺のコシもしっかりしており、汁がよく絡む。そしてスペシャル具の牛テッチャンは“もつの大トロ”というお店の謳い文句はいささか大げさとしても、これまた思ったより汁をよく吸っていて柔らく、味わい深い。

テッちゃんぽんには刻んだ鷹の爪(とうがらし)が小皿に入れて添えられていた。筆者は辛いもの耐性は比較的高いほうである。最初の2、3口を標準状態で食べた後、このくらいの量なら全入れでいいかなと思い、混ぜて食べてみた。すると、ノーマル状態ではコクはある半面、ちゃんぽんとしてはいささかまろやかだった味に俄然パンチ力が出た。

さらに、テーブルには辛子高菜のポットが置かれていた。福岡と言っても味の好みは千差万別なのだが、汁が明らかに辛子高菜で変色するくらい入れる人が多いのは事実。筆者は鹿児島生まれだが、辛子高菜は大好きだ。鷹の爪を全入れした後に辛子高菜を追加するとさすがに辛いかと思いつつも、わりとダイナミックに入れてみた。

すると…やっぱり入れてよかった!鷹の爪と風味がかち合わないかと思ったのは杞憂で、両方入れるのが一番ダイナミズムを感じられる。もつの脂分で角が丸まった鷹の爪と辛子高菜の辛さは格別で、アミノ酸が思いっきり凝縮されたような味わいになった。

もっとも、辛さの調節には注意も必要。筆者は先に鷹の爪を入れたが、順序は明らかに逆で、辛子高菜を入れてから、辛さを見つつ適量の鷹の爪を入れるほうが、味の調節は断然やりやすい。辛子高菜の辛さは即効性だが、鷹の爪は後からじわじわ効いてくる系。次第に口の中が燃えるような感覚に。味のウェルバランスを狙うなら鷹の爪はもう少し少ないほうが良かったかなとも思った。それでもダイナミックな美味さは最後まで続き、満足のうちに完食した。

ロングドライブをしていると、それこそいろいろな食べ物に出会う。名物情報は巷にあふれているし、偶然見かけた面白そうな店に入って、それが当たりだったりハズレだったりするのも楽しい。が、旅先に住んでいる友人などに、在住者ならではのおススメ大衆食堂を聞いて、そこに行ったりするのは一興。一見普通の、しかしジモッティに人気の大衆食堂の料理こそ、実は地元人たちの味覚をがっつり汲み取ったものだったりするからだ。

この地方の人たちは何を美味しく食べているのだろうか…そんなことを体験するのもツーリングの醍醐味。皆様にも全国各地に散らばった友達情報の活用を大いにおススメしたい。きっとネットの口コミを頼りに旅をするのともまた違う楽しさを味わえるはずだ。

《井元康一郎》

井元康一郎

井元康一郎 鹿児島出身。大学卒業後、パイプオルガン奏者、高校教員、娯楽誌記者、経済誌記者などを経て独立。自動車、宇宙航空、電機、化学、映画、音楽、楽器などをフィールドに、取材・執筆活動を行っている。 著書に『プリウスvsインサイト』(小学館)、『レクサス─トヨタは世界的ブランドを打ち出せるのか』(プレジデント社)がある。

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