【ベントレー ベンテイガ 試乗】別世界に連れて行かれる…中村孝仁

試乗記 輸入車
ベントレー ベンテイガ
ベントレー ベンテイガ 全 18 枚 拡大写真

のっけからお金の話で恐縮だが、そのお値段2739万円(消費税込み)だそうである。実はこれよりも高いSUVは存在するのだが、少なくとも乗ってみた感じは、今のところ別世界のものだった。

【画像全18枚】

その名前、『ベンテイガ』という。どこがどう別世界だったかというと、先ずはベントレーという、超が付く高級ブランドが初めて試みたSUVという作品だということ。そもそもベントレーのホームページを見ると、「SUVではない。ベントレーだ。」というフレーズが飛び込んできて、SUVであるということを憚るのだが、そうは言ってもSUVであることは誰がどう見ても否定できないと思うので、敢えてSUVと呼ばせていただく。

次に、その内装。さすがは超が付くブランドが渾身の一作として仕上げてきただけに、ここでも別世界感がビシバシと伝わる。3番目はボンネットに収まるW12という複雑な機構を持つパワーユニット。600psを超える(正確には608ps)最高出力は、少なくとも世界最強の一つであることは間違いなく、そこから湧き上がる途方もないパワーはこれも別世界感満載で、実は本当に別世界に連れて行かれる心境にさせてくれる。

もう一つおまけの話をすると、このクルマにはオプションでブライトリング社製のトゥールビヨンメカニカルウォッチが用意されるのだが、そのお値段はあちらの価格で何と15万ユーロ!ベントレーのホームページを見ても、お値段は書かれておらず、おおよそ2000万円ともいわれているが、とにかくこれも別世界のお話である。

さて、その別世界感満載のベンテイガを、ほんのわずかな時間ながら、東京都内で満喫させてもらった。3サイズ5150mm×1995mm×1775mm、ホイールベース2995mmだから、都内で楽しむにはいささかというか、だいぶデカい。お値段考えるとさすがに踏み込む右足の力が少し抜ける。ただ、抜けようが抜けまいが、その走りは常にジェントルで、静々と。少なくとも都内の雑踏の中では、それが限界である。快適?言うまでもない。静か?同じく言うまでもない。

そして一度だけ、本当に一度だけ前が空いて、グッと踏み込める瞬間がやって来た時に、意を決してそれを試してみた。W12、608psと900Nmの最大トルクが目覚めた瞬間だったかもしれないが、それこそ底なし沼に引きずり込まれるような、とてつもない力がドライバーにも降りかかってくる。パフォーマンスとしてはこれと同様なものは過去にも体験したと思うのだが、車両重量2530kgのクルマでは、恐らくこれが初めてだったのではないかと思う。巨大なマスがとてつもない速さで加速を開始した時のフィーリングはまさに別世界。空前絶後である。

ところがそんなクルマでありながら、郊外を流した時の燃費は11.0km/リットルだという。まあ実際にやってみたわけではなく、あくまでもメーカー発表の値ではあるが、結構な優等生だ。

今、SUVの世界は上から下まで、つまり大きいモデルから小さいモデルまで、そして高価なモデルから安価なモデルまで世界的に大流行り。ベントレーに続いてロールスロイスもどうやらSUVを投入するようだし、ランボルギーニだって負けちゃいないとばかりにSUVを投入する。今や伝統的にスポーツカーメーカーだったり高級車メーカーだったりという不文律はなくなり、売れるものを作る時代になってきた。正直、何となくさもしい感じがするのだが、仕方ないのだろうか。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度 :★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来39年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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