産業革新機構 志賀会長「業界再編を進め、世界に打って出るように仕掛ける」

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産業革新機構の志賀俊之会長兼CEO
産業革新機構の志賀俊之会長兼CEO 全 2 枚 拡大写真

産業革新機構は4月18日、東京・丸の内の本社会議室で「回顧と展望について」というテーマで会見を開いた。その席で、志賀俊之会長兼CEO(日産自動車副会長)は「日本の産業界にはさらなる再編を進める必要がある」と強調した。

同社は2009年7月、政府の産業競争力強化法に基づき、15年間の官民ファンドとして発足。ちょうど半分の折り返し地点になったことから会見を開いたわけだが、これまでに114件の投資を行った。その内訳はアーリー・ベンチャーなどが78.0%、再編が8.8%、海外が13.2%となっているが、金額ベースで見ると計9846億円のうち、再編が54.6%と半分以上を占め、アーリー・ベンチャーなどが21.8%、海外が23.6%だった。

勝又幹英社長は「民間ではできないリスクマネーを供給し、ベンチャーなどへの投資を通じて人材育成もできた」と成果を力説。114件の投資案件のうち、すでに売却を完了した30件について、投資金額1663億円に対して回収金額が2716億円と、投資資金の約6割のキャピタルゲインを得たとアピールした。

ただ、業界の再編については「ミッションが遂行されているかというと、まだ道半ばである。現在、10の業界について投資仮説を立て検討しており、多角化した業界についてはまだまだ産業再編の余地がある」と勝又社長は話す。

一方、志賀会長は「日本の場合、1つの業界の中にプレイヤーが多く、過当競争を繰り返している。本来であれば、イノベーションをして競争すべきところを過当競争で体力をどんどん消耗し、その結果、労務費などの削減につながっている。グローバル化の中で海外の企業が再編を進めて大きくなっている中、日本の中で小粒で残って行くには無理がある」と述べ、こう続ける。

「日本の経営者はそのことに気がついている。総論では賛成だが、いざ各論になると進まない。そういう状況を見て、個人的には地団駄を踏んでいる。これから残り7年、日本の中でドメスティックに再編を進めていくだけでなく、そこから世界に打って出ることを仕掛けようと思う」

そのために「グローバル産業再編プログラム」というグローバルレベルでの再編推進のためのタスクチームを社内で立ち上げた。「産業革新機構の果たすべき役割はまだまだある」と志賀会長は力を込める。この日の会見の話題は東芝メモリーで質問の約半分がそれに関するものだった。

《山田清志》

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