ZFは日本市場にどう向き合うか…TRW買収から2年、その使命と展望とは

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ZFは日本市場にどう向き合うか…TRW買収から2年、その使命と展望とは
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独ZF社は、2015年5月に米TRW社の買収を完了し、17年1月1日にアフターマーケット組織を統合した。そして日本においては、3月21日にTRWオートモーティブ・ジャパンの本社機能を統合した新本社を、ZFジャパンが横浜に開設した。この本社移転を機に、ZFジャパン代表取締役社長である中根義浩氏との懇談と、ジャパンテックセンター見学会が催された。

ZFジャパンは、国内に6か所の拠点を持つ。内訳は、神奈川県横浜市中区山下町の本社、新山下のテックセンター、そして宇都宮、豊田、広島の事務所、広島県三次の製造工場だ。それらで、400名弱の従業員が働く。新本社開設の狙いを、中根社長は、「ZFジャパンとTRWオートモーティブ・ジャパン時代のまま両社が離れた場所にいると、一体化しにくいことから、社員のマインドセットをするため横浜にZFジャパンの本社を新たに開設しました」と説明する。

そのうえで、ZFジャパンのミッションとビジョンについて、次のように語った。

「なぜ、ZFが日本に事務所を抱えるかというところがミッションになると思いますが、エミッションゼロ、交通事故ゼロ、すなわち弊社でいうところの“ビジョンゼロ”社会構築のために寄与するZFの技術を、日本のお客様(自動車メーカー・筆者注)や、アジアやアメリカなどのお客様にも試していただくためです。ビジョンは、責任をもって日本でのZFをリプレゼント、つまりZFを代表する存在となりたいと考えています。そうすることにより、ZFへの信頼を得て、ZFを選んでいただいたり使っていただいたりしてもらえるようになるのではないでしょうか」。

日本の自動車メーカーは、トヨタが世界一の販売台数をフォルクスワーゲンやGMと競う存在であり、また日産も、ルノーと三菱とのアライアンスにより、その一角に食い込もうとするなど、膠着状態にある日本国内市場の状況とは別に、販売規模においての存在感は世界的に見ると大きい。そうした日本との接点は、総合サプライヤーにとって見逃すことのできないところだ。

さらに、中根社長はこう打ち明ける。

「日本人が日本語でお客様と話ができるというのは、重要なことなのです。もちろんドイツから技術者などが来日し、日本のお客様と会議を持つことはしています。しかしその会議の後などで個別に、『実は…』と、お客様が期待されていることや悩んでおられる点など、忌憚のないご意見を耳にする機会が得られ、その中には会議以上の重要な情報が含まれていることがあるのです」。

自動車メーカーが直面している本音を聞き出す機会が得られるというわけだ。

「たとえば、自動運転への取り組みについても、海外と国内では道路事情や交通事情が異なります。そこに、欧米スタンダードを持っていっても通りません。お客様の生の声をお聞きし、理解することが、日本に事務所を構える大きな利点となります」。

そうした際に、ZFによるTRWの買収は、大きな機会を生み出すと、中根社長は言う。「両社によるシナジー効果を挙げるとすれば、製品群が広がったことです。お客様へご提案する選択肢が増えました」。

ZFのTRW買収からまだそれほど時間が経過してはいないが、手応えはどうであろう。

「我々の製品とお客様との相性を感じているところです。メガトレンド(安全・効率・自動運転)に近い部分で、接点となり得る入り口が見えてきています。またそれに際し、ZFは何ができるのか、というZFならではの提案を持つことが課題である点も認識しています。たとえばお客様も弊社も、ロードマップとして自動運転への道筋は認識していますが、その行程は変化が激しく、またメガトレンド全体においてもお客様自身が開発を進めながら方向性を定めているところもあって、それにどう対応し、どう我々自らがあるべき姿をご提案できるかが勝負どころとなっています」。

さて、そうした業務の中で、やはり気になるのは買収を経た両社の企業風土の違いによる社内摩擦は生じないのかという点である。文化の異なる環境で仕事を進めてきた人々が、一体感を持つ難しさは過去の企業合併などで見られることだ。

「たしかに、ドイツのZFとアメリカのTRWということで、国柄や企業風土に違いがあるのは事実です。とはいえ、ZFジャパンとしては、日本で日本人が運営する会社ですから、挑戦するという方向で心を結び付けることはできます。また、国内の社員数は300~400人程度なのですから、そこで言い合いをしても仕方がありません。競合他社と競い合うことを重視し、そこへ力を注いでいこうと話しています」。

《御堀直嗣》

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