【安全の舞台裏 JAL】スライドは安心感があるけど速い---救難訓練体験

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インストラクターによる模範滑降。実際は下端に補助員が立つ。
インストラクターによる模範滑降。実際は下端に補助員が立つ。 全 10 枚 拡大写真

航空会社では乗務員が日常から客室救難訓練を行なっており、JAL(日本航空)の客室救難訓練の実技を乗客役として体験した。ラフト(ゴム製いかだ)による水上への避難に続いて、スライドを滑り降りての避難訓練だ。不謹慎な比較かもしれないが、公園の滑り台とどう違うのか楽しみだ。

訓練は飛行中に機内で発煙、緊急着陸、地上に避難という設定だ。訓練機内には実際にスモークが発生する。かなり濃い。「コンサートで使用しているものです。毎日吸っていますが健康に影響はございません」と、安全訓練グループの藤原万利子インストラクターが説明する。 ラフト避難と同様の手順でドアを開ける。スライドも展開済みだ。

実技に先立って説明された、スライド滑降時の姿勢は次の通り。1. 足は肩幅に広げて安定を図る。2. 前傾姿勢でスピードが出過ぎないようにする。3. 手も前に突き出して持ち上げ、スライドとの摩擦でやけどしないようにする。

最近は機内持ち込み荷物が増える傾向にあるが、スライド避難時には持ち出さない。邪魔になるのはもちろんだが、滑降時に荷物を抱えて仰向けになるとスピードが出すぎるという。では、なぜ、スピードの出過ぎを戒めるのか。避難者はスライド下端、地面に着いたら走って事故機から遠ざからなければならない。滑降のスピードが出すぎると、スライドから地面に降りるときに背中から落ちたり転んだりして、すぐに次の行動に移れないからだ。大勢がスムーズに避難できるように一人ひとりが注意したい。

スライド上端に立つ。777だと2階と3階の間ぐらいの高さになる。傾斜は想像していたほどきつくない。記者が子供の頃に遊んだ街中の公園の滑り台の方がよほど急だった。同じ公園では、子供達がもつれて遊ぶうち横から下の砂場に転落するケースがときどきあったが、スライドは左右の“壁”が高く、横から落ちそうな気配もない。反面、手すりのように伝って滑降できないので、両足を適度に広げて姿勢を安定させる必要があるわけだ。また事前の説明にあったように、伝って滑降したら摩擦で手をやけどするだろう。

懐中電灯で誘導。
いよいよ滑降だ。スライド上端に腰を下ろす。ビデオなどでは、避難者が次々と機体から飛び出すが、今回の訓練は初めての体験なので、スピードが出過ぎないように、またきちんと体勢をとれるように、いったん座ってから滑り始めることにする。では……。

は、速い!! あっという間に下に着いてしまった。公園の滑り台だとズリズリと滑り始めてだんだん速度がつくものだが、スライドでの滑降はいきなりトップスピードだ。スライド下端の傾斜がゆるい部分で減速することもない。あらかじめ前傾姿勢をとって、下に着いたらすぐに走り出せるようにしておく必要があるのだ。これでも訓練用ということで、スピードが出過ぎないようなカバーを敷いているという。

このように手心がくわえられていたものの、正しい滑走姿勢で滑ったため滑り降りる道具としてスライドに不安はまったく感じられなかった。

★スモークを焚いての訓練を実施。濃い。
★スライドは街の公園の滑り台と同じ。揺れない。勾配も急ではない。
★正しい姿勢だときれいに着地できる。

取材協力:JAL(施設見学)


【安全の舞台裏 JAL】救難訓練体験
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4. 非常食を噛みしめる[リンク]

《高木啓》

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