フォルクスワーゲン グループ ジャパン(VGJ)は4月27日、新型『up!』(アップ!)の発表会を東京・芝公園のイベント会場で開催した。ティル・シェア社長はクルマを見ながら「このクラスは競争が熾烈だが、必ずや健闘してくれる」と自信を覗かせた。
その根拠になっているのが安全性と快適性だ。「小さいけど、しっかりフォルクスワーゲン」のコンセプトの元、シティエマージェンシーブレーキ(低速域追突回避・軽減ブレーキ)をはじめとする最新の安全・快適装備を数多く採用した。たとえば人気の高いLEDポジションランプ付ハロゲンライトや夜間の安全性を高めるオートライト、降雨時に便利なレインセンサー、4輪を常時監視するタイヤ空気圧警告灯をすべてのグレードに標準装備している。
また、ボディには特に高い強度がある熱間成形鋼板をBピラーやフロアの一部などボディ全体の8.1%に使用したほか、超高張力鋼板や高張力鋼板もボディ全体の59%に使っている。その結果、スモールカークラスでは圧倒的とも言える高いボディ剛性を確保しているそうだ。「本当に頑丈にできているうえ、長距離を乗っても疲れないので、若者や女性だけでなく、いろいろな人に楽しんでもらえるクルマだと自負している」とシェア社長。
価格は2ドアの『move up!』が158万7000円、4ドアの『move up!』が178万7000円、上級グレードの『high up!』が193万8000円となっている。
フォルクスワーゲンの日本市場での販売はこのところ低迷が続き、昨年はBMWにも抜かれて輸入車市場で3位に転落してしまった。そのため、今年は反転の年とシェア社長は位置づけ、お客との接点を増やす活動に力を入れている。おかげで1月に発売した新型SUV『ティグアン』の効果と相まって、1~3月の販売台数が前年同期に比べて3.6%増と勢いを取り戻しつつある。
そこに今回新型『up!』を投入したわけで、シェア社長の言葉に力がこもるのも無理もない。なにしろ前モデルの『up!』は1年間で約1万2000台を販売した実績があるのだ。これから輸入車トップのメルセデスベンツ追撃が本格化するのは間違いないだろう。その差は3月末時点で約4000台だ。