東武SL拠点、下今市機関区 開設…引上線や機回線を行くカマの動きが見えた

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東武鉄道 下今市機関区(メディア向け・地元住民向け公開、5月2日)
東武鉄道 下今市機関区(メディア向け・地元住民向け公開、5月2日) 全 20 枚 拡大写真

東武鉄道の路線に、蒸気機関車や電気機関車が走っていた時代があった。SLは半世紀以上も前の話。相互直通運転や複々線化、高架化といった進化をとげてきた東武が、50年以上の時を経て、鬼怒川線と日光線が接続する下今市駅に「機関区」を新設した。

東武鉄道は5月2日、蒸気機関車C11形207号機が引くSL列車「大樹」の拠点となる「下今市機関区」の開設式を開催。同社・自治体の幹部陣の登壇による式典のほか、転車台や機回しのデモンストレーション、14系客車の車内公開などが行われた。

機関庫は内2線・外1線

この日は、SLの運転・点検・調整・保火業務などが行われる下今市機関区は、SL列車運転にかかわる乗務員とSL・DLの状態確認・点検を行う検修員が所属。「日常的な保守・整備は下今市機関区、重整備などは、埼玉県久喜市の南栗橋車両管区のSL検修庫で行う」(同社担当者)という。

機関庫は、本線側から「2」「3」と番号が振られている。「1番線は洗浄線という扱いで、屋根がないライン」(同)。

もともと下今市駅の駅舎は、その南側のJR日光線や日光街道(国道119号)に向いて立つが、機関庫の開設にあわせて北側の大谷川に向けて跨線橋や出入口を建設中。「地域の人たちや旅行者たちが、機関区やSL・DLの機回しなどを見学できるエリアをつくっている」。

転車台はヨをセットで

SL列車「大樹」をけん引するC11形207号機が、3番庫内から出庫し、転車台(もとJR西日本 長門市駅配置)で向きかえ、留置線に止まる14系客車に連結するシーンを見せてくれた。

C11 207が単体でターンテーブルに載ると思いきや、車掌車 ヨ8634(もとJR貨物所属)とペアで転車台に入る。「蒸気機関車時代は、単体でまわしていたけど、このSL列車『大樹』の場合、車掌車にATSを積んでる関係で、セットになって動く。だから、鬼怒川温泉駅に設置中の転車台(もとJR西日本 三次駅配置)などには延長した部分もある」と担当者はいう。

バック時はヨに後退灯

浅草側に頭を向けたC11 207+ヨ8634は、機関区新設にあわせて新たに敷設した浅草方引き上げ線へと向かう。そこからバック運転で留置線にとめられた14系に接近。「本線から留置線までは入換信号で動かすけど、機関区構内は手旗信号扱い。バック時には、ヨに新設した後退灯をつけて動かす」。

「このデモンストレーションの逆の動きが、運転終了後の動きのイメージ」と担当者。鬼怒川温泉を発ったSL列車「大樹」は、下今市駅で客を降ろしたあと、いったん本線浅草方へと向かう。最後部でプッシュしていたディーゼル機関車 DE10 1099(もとJR東日本所属)がけん引し、留置線へと入る。その後、C11 207+ヨ8634が客車と別れ、引き上げ線へと向かい、後退灯をつけて転車台へ入り、DE10 1099は大谷川方に新設した機回し線を通って機関庫へ入庫するというイメージだ。
下今市機関区 配線イメージ

この日、本線や引き上げ線をまたぐ浅草方の踏切(県道62号)からは、下今市機関区や駅を行き交う列車たちが遠望できる。晴れた日は、その向こうに男体山、大真名子山、女峰山、赤薙山などの山容が見える。

下今市機関区開設式には、同社 根津嘉澄社長や、同社下今市機関区 関口真樹区長、書道家 涼風花日光観光大使、栃木県 江連隆信県土整備部長、 日光市 斎藤文夫市長、日光市観光協会 八木澤哲男会長、今市警察署 細波勝也署長、日光市消防本部 富久田民一消防長などが登壇。多くのメディアや地元住民が集まるなか、今市中学校吹奏楽部のブラスセクションライブ、涼風花 書道パフォーマンス、新制服発表なども行われ、機関区開設を祝った。

《レスポンス編集部》

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