鈴鹿2&4レースでの優勝を「手放しで喜べない」高橋巧

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高橋巧選手
高橋巧選手 全 4 枚 拡大写真

レース距離200kmのJSB1000クラス開幕戦は、4月23日に鈴鹿サーキットで行われたが、そのオープニングラップで清成龍一が転倒してセーフティーカーがコースに入るという大波乱で始まった。さらにそのセーフティーカー介入中に、3番手につけていたYAMAHA FACTORY RACING TEAMの中須賀克行が転倒し、レースは混迷を深めていった。

セーフティーカーが離れてレースがリスタートすると、7周目にMuSASHi RT HARC-PRO. Hondaの高橋巧がトップに浮上。その後、ルーティンのピットインでポジションを下げるが、実質トップのままレースに戻り、2位のヨシムラスズキMOTULの津田拓也に13秒の大差をつけて優勝。高橋にとって実に2014年5月のツインリンクもてぎ以来の優勝となった。

「優勝は、とてもうれしい。でも、マシンはまだほとんど詰め切れていない」。高橋が駆るマシンは、ホンダが投入した新型「CBR1000RR SP2」で、シェイクダウンは3月中旬に行われたが、セットアップにはまだ時間が必要と語る。

「レースウイークで徐々にセッティングは高まってきましたが、まだ満足できるレベルではありません。予選でも、自己ベストには届かなかったし、決勝日朝のフリー走行でも、マシンをまとめることはできませんでした。現状では、ひとつの問題点をクリアすると、すぐに次の問題が出てくるという状態です。レース自体が荒れた展開だったし、マシンにはいくつかトラブルも出ていたので、とにかく転倒しないレベルでペースを上げて走りました」

一方で、中須賀の転倒にも言及している。「中須賀選手の転倒はもちろん知っていました。今回、優勝はできたけれど気持ちが複雑なのはここにあります。やはり、中須賀選手を破ってこそ、優勝にも価値が出てきますから」。

「もし中須賀選手がいつも通りに走っていたら、優勝はかなり難しかったと思っています。スターティンググリッドにつくまでの各走行セッションで、中須賀選手の方が一発のタイムも、アベレージタイムも僕より上でしたから」

「ただ、僕のマシンも走るたびにポテンシャルを上げているのは事実で、今後のテストでしっかりとマシンを仕上げることができれば、中須賀選手ともいい勝負ができると実感があります。どれだけマシンを仕上げられるかは、本当に時間との戦いになります」

JSB1000の次戦は5月14日のスポーツランドSUGOでの120マイルレース。再び耐久レースとなり、6月11日のシリーズ第4戦ツインリンクもてぎで今季初のスプリントレースとなる。

「耐久レースが続きますが、マシンを作るにはいい環境とも言えます。テストでマシンを仕上げて、耐久レースでも、そしてツインリンクもてぎのスプリントレースでも、ハイレベルな面白いレースにしたいですね」

高橋の好調は、鈴鹿サーキットでのモータースポーツファン感謝デー翌日に行われた合同テストから囁かれていたが、今大会では、優勝という形でそれを立証してみせた。

JSB1000のシリーズ前半戦は、どのチームも“コカ・コーラ”鈴鹿8時間耐久を見据えてマシンを作っていくという作業になる。高橋により新型CBR1000RR SP2のポテンシャルが順調に高まっていけば、鈴鹿8耐3連覇を目指すYAMAHA FACTORY RACING TEAMにとって、大きな脅威となることは間違いない。

《佐久間光政》

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