【SUPER GT】NSXの15kg減は「より拮抗した戦いを見てもらうため」…シリーズ側が性能調整の経緯を説明

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NSX-GT勢は今回の“恵量”措置を活かせるか(写真は第2戦富士)。
NSX-GT勢は今回の“恵量”措置を活かせるか(写真は第2戦富士)。 全 8 枚 拡大写真

21日、SUPER GT第3戦開催中のオートポリスにて行なわれた毎戦定例のシリーズ主催団体GTAによる会見において、今大会からGT500クラスのホンダNSX-GTが“15kg減”の参加条件変更を受けている経緯についての説明が為された。

GT500クラスはFRでの参戦を技術規則の基本としているが、ホンダはミッドシップ(MR)での参戦となっているため、レクサスと日産のマシンが最低重量1020kgのところを従来は1049kgと定められていた。これはミッドシップハンデが29kgという理解である(GT500のNSXは2016年から非ハイブリッド。ハイブリッドだった時期にはそのハンデも存在していた)。

今回のオートポリス戦を前に、GTAは今季参戦車ホンダNSX-GTの最低重量を1034kgに変更。つまりホンダは従来よりも15kg減の状態でオートポリス戦に参戦しているわけだが、ミッドシップハンデの見直しと考えられていた此度の参加条件変更について「そうではない」との旨を坂東正明GTA代表は明らかにした。

「ミッドシップハンデ29kgというものは今も変わっていません。これは参戦3社ともコミットしているところです。ただ、ホンダが昨季から勝っていない、より拮抗した戦いをファンのみなさんに見ていただきたい、というなかで、性能調整委員会での審議内容を受け、GTAが15kg減を決めました」

今回の措置は下記規則に基づいた(純然たる)性能調整ということになる。

SUPER GT競技規則第24条:性能調整
「GTAが参加を認めたすべての車両については性能均等化のため、性能調整措置が実施される。本調整は特定の車種、または特定の競技車両に対して不定期に実施することができる」

ホンダ側からもリクエストがあったという経緯を坂東代表は語っているが、GTA関係者の補足を交えて“リクエスト”の状況をまとめると、2014年以降のGT500車両規則はDTMとの共通モノコック使用等をその根幹としているため、元来FR用のものをミッドシップに仕立て直すようなかたちでの参戦では「本来自分たち(ホンダ)がつくりたいミッドシップをつくることは難しい状況にある」という主張のようだ。一般に有利と見られるミッドシップの良さを十全には発揮できない環境、そういうことだろう。

つまり、GTA側の判断としてのミッドシップハンデはあくまで+29kgで変化ないが、やはりホンダがミッドシップ参戦していることが今回の件のベースにはあると考えるのが妥当なところで、パドックで話を聞いていても、話の流れは自然とそうなる。

スーパーGTは市販車にルーツを持つハコのレーシングカーが競うシリーズだ。どうしても車両の成り立ちからくる個性の影響で、各車の性能が自然に拮抗することは難しい。そこで「参加条件」を設定することにより、性能均衡化が図られている。

多彩な車種が集うGT300クラスでは車重やエアリストリクター等、極めて複雑で難解な参加条件が毎戦付与されており、それが激戦の呼び水となっていることは確か。また、既に四半世紀に近づく歴史を有するスーパーGT(JGTC時代含む)ではこういったいわゆる性能調整に関して、時代時代による様々なルール施策が行われてきた経緯もある。これは正解のない、難しい作業だ。今回の件も「誰もが満足するということでないのは分かっています。(今季好調な)レクサスは当然、面白くないでしょう」と坂東代表。

ただ、「これからレースがどう拮抗していって、それを見たお客さんにどう考えていただけるかが一番重要なことですから」との旨を坂東代表は語る。特に今回は昨年の地震から復興中の九州中部オートポリスでの2季ぶり復活開催ということもあり、ファンありきのSUPER GTとしての部分を大事に今後も舵取りをしていく思いを強調している。

もともと、なるべく一人勝ちをさせないカテゴリーとして生まれたスーパーGT。それを満たすシリーズ運営は前述したようにいつの時代も難しいものであったが、それが実ってきたから今の隆盛がある。あらためて、その意義と難しさを感じさせる坂東代表の説明であった。

なお、他のGT500車両に性能調整をする考えは「今のところ、ないです」。また、今後の成績やレース内容次第ではマイナス15kgというNSXの数字の変化や撤回があるかについては、「難しいところですが、あまり頻繁に変えることはしたくない気持ちもあります」と坂東代表は語っている。

《遠藤俊幸》

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