【アウディ A5クーペ 試乗】なんてジェントルなクーペだろう!…島崎七生人

試乗記 輸入車
アウディA5クーペ 2.0 TFSI quattro sport
アウディA5クーペ 2.0 TFSI quattro sport 全 8 枚 拡大写真

“筆舌に尽くしがたい”とは物書きが1番使ってはいけない表現…とどこかで読んだ覚えがある。が、新型『A5』のクーペを走らせて、そのフレーズこそ相応しいのではないか、と思った。

何てジェントルなクルマなのだろう…が第一印象。営業妨害をするつもりは毛頭ないが、何も「S5」で力まず、コチラの普通のクーペでサラッと乗りこなすだけでも十分に“粋”である。デビューしたばかりだが、スタイルと走りと味わいが完全に一体となり、このクーペの世界観を完成させている。一切のアップデートは不要に思えるほどだ。

スタイリングは先代を踏襲したもの。となればよくて化粧直し、さもなければ改悪になるケースが一般的。ところが、センシティブなサイドのキャラクターラインをもつピュアだった先代に対し、ほどよくニュアンスが加味され、いい塩梅の大人びた印象になった。新旧比較で全長+45mm、全幅ー10mm、全高とホイールベースはプラスマイナス0だが、新型のほうが長過ぎず幅広に見え、佇まいに落ち着きが出たようにも感じる。

クールで加飾に走り過ぎないインテリアも居心地がいい。ポジションを合わせると、まるで長年馴染んだ自分のクルマのよう。着座するとスルルルとシートベルトを掴みやすく前に出すガイドレバーの、高級オーディオのパーツのような精緻な動きと仕上げは感動的。

そして走り出せば、ダンピングコントロール付きスポールサスペンション(オプション)の低速からの上質でスムースな乗り味といったら! 252ps/37.7kgmのスペックを発揮する2リットルターボと7速Sトロニックの組み合わせは、たとえ運転モードを“ダイナミック”に切り替えても、クルマが牙をむくようなことはなく、アクセル操作に対し小気味よく力強さが増強される印象。

クワトロであることと、クーペボディの剛性の高さと相俟って、ワインディングでの4輪の接地感は常にバランスがよく、ステアリングを切り込むと、気持ちよくスーッとクルマが向きを変える。あくまでスムースなアクセル、ステアリング操作で走らせているときの神経を逆撫でしない気持ちのよい応答は格別で、このクルマらしい。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

《島崎七生人》

島崎七生人

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト 1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

アクセスランキング

  1. 1回あたり300円、10分で施工できる凄技コーティング、洗車機との相性も抜群『CCウォーターゴールド』が選ばれる理由PR
  2. タイヤブランドGTラジアルよりオールシーズンタイヤ「4シーズンズ」発売
  3. マツダ、電動セダン『EZ-6』世界初公開、24年発売へ SUVコンセプトも…北京モーターショー2024
  4. 【ホンダ ヴェゼル 改良新型】開発責任者に聞いた、改良に求められた「バリュー」と「世界観」とは
  5. アルファロメオ『ステルヴィオ』後継モデルは、大容量バッテリー搭載で航続700km実現か
  6. スバルとスカイラインにフィーチャー…第4回アリオ上尾 昭和平成オールドカー展示会
  7. ホンダ ヴェゼル 改良新型、純正アクセサリーで“自分らしさ”を表現する
  8. トヨタが新型BEVの『bZ3C』と『bZ3X』を世界初公開…北京モーターショー2024
  9. 郵便局の集配車が「赤く蘇る」、KeePerが8000台を施工
  10. ディフェンダー 最強モデル「OCTA」、V8ツインターボ搭載…7月発表へ
ランキングをもっと見る