FOCALのニュー・パワーアンプ『FPX4.400 SQ』をテスト! その実力は!?

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FOCAL・FPX4.400 SQ
FOCAL・FPX4.400 SQ 全 9 枚 拡大写真

フランスを拠点として世界的に名を馳せているスピーカーのリーディングカンパニー、「FOCAL」から、新パワーアンプ『FPXシリーズ』が発売された。この注目のニューカマーの実力をチェックすべく、完成したばかりの搭載デモカーの試聴取材を早速実行した。

■価格も決定され、いよいよ本格的なデリバリーがスタート!

最初に、『FPXシリーズ』の概要をおさらいしておこう。3月の下旬にその時点で明らかにされていた情報をお伝えしたのだが、各機の価格と、さらには5chモデルの詳細が新たに発表されているので、ここで一旦情報を整理しておきたい。

シリーズは以下の5機種で構成されている。

☆FPX5.1200(税抜価格:9万円)
●クラスD 5chパワーアンプ
●定格出力:4x75W+1x420W(4Ω) ●周波数特性:10Hz~20kHz ●サイズ:337×175×57mm ●質量:4.1kg

☆FPX4.800(税抜価格:6万5000円)
●クラスD 4chパワーアンプ
●定格出力:120W×4(4Ω) ●周波数特性:20Hz~20kHz ●サイズ:237x132x53mm ●質量:2.0kg

☆FPX2.750(税抜価格:6万5000円)
●クラスD 2chパワーアンプ
●定格出力:220W×2(4Ω) ●周波数特性:20Hz~20kHz ●サイズ:237x132x53mm ●質量:2.0kg

☆FPX1.1000(税抜価格:6万5000円)
●クラスD 1chパワーアンプ ●定格出力:420W×1(4Ω) ●周波数特性:15Hz~250Hz ●サイズ:297x132x53 ●質量:2.55kg

☆FPX4.400 SQ(税抜価格:6万5000円)
●クラスA/B 4chパワーアンプ
●定格出力:70W×4(4Ω) ●周波数特性:10Hz~22kHz ●サイズ:314x175x57mm ●質量:3.7kg

クラスDのモデルが4機種(5chモデル、4chモデル、2chモデル、1chモデル)、そしてクラスA/Bの4chモデルが1機種、という内訳だ。シリーズ全体の特長は、“小型&ハイパワー”。しかしながらそこに、音質重視のクラスA/Bモデルも1機種用意されている。ただし、クラスDの各機も音質性能には抜かりはない。特に2chモデルに至っては、1chあたりのパワーにも余裕があり、クオリティに間違いはないだろ。なお、サイズは、クラスDの4chモデルと2chモデルが同サイズで、それ以外はすべて異なっている。価格については、5chモデルのみ9万円で、それ以外はすべて、6万5000円で統一された。

■本格カーオーディシステムの入門編的なシステムレイアウトを採用。

続いては、デモカーの基本情報をお伝えしていこう。ベースカーは、「トヨタ・G'sアクア」で、製作したのは「FOCAL」の正規輸入代理店である「BEWITH(ビーウィズ)」だ。

ユニットレイアウトは以下のとおり。メインユニットとしてはビーウィズのリニアPCMトランスポートパッケージである『MM-1DT/6』(税抜価格:31万円)を置き、さらには「アルパイン」のAV一体型ナビも並列させている。そして、音楽信号を制御するプロセッサーには、今回パワーアンプと同時に発売された、「FOCAL」初のプロセッサー『FSP-8』(税抜価格:11万円)が採用され、別売のコントローラー『FSP-8 REMOTE CONTROL』(税抜価格:3万円)も合わせて導入されている(『MM-1DT/6』の出力は光デジタルで入力され、ナビの出力はアナログのラインケーブルで伝送されている)。

肝心のパワーアンプには、『FPXシリーズ』から『FPX 4.400 SQ』がチョイスされ、これによって鳴らされるスピーカーは、「FOCAL」の人気ライン『K2 Powerシリーズ』より、『ES 165 K』(税抜価格:7万5000円が選ばれている。

ハイエンドメインユニットである『MM-1DT/6』が取り付けられていてスペシャリティが演出されているものの、それを除外してシステムを見れば、本格的カーオーディオの入門システムという構成である。またこのデモカーは、サブウーファーを用いずにフロントスピーカーだけで完結させ、パワーアンプは4chモデル1台でまかなうというミニマムなシステムレイアウトが取られているのだ。

■各機の価格も、さらにはインストールスタイルも、至って“現実路線”。

さらに言えば、パワーアンプもスピーカーも、比較的に手頃なミドルグレードモデルである。昨今、ハイエンドカーオーディオの世界では、システム金額だけで100万円を超えることはザラにあり、場合によっては200万円オーバーのヘビー級なシステムが搭載されることも少なくないが、当デモカーでは、『MM-1DT/6』を除けば、税抜のシステム金額は28万円。ちょっと手を伸ばせば届きそうな、“安心感”のあるシステム総額に収まっていると言っていい。

また、取り付け様式もライト仕様だ。高音の再生を担当するトゥイーターはダッシュボード上に“ポン”と置かれるもっとも合理的な手法で取り付けられている。ドアのスピーカーも、ドアトリムの見た目を一切変えることなく収められている。ドア内部の音響的なコンディションを上げるための加工である“デッドニング”は行われているが、それについてもスタンダードな内容にとどめられているとのことだった。

ただし、プロセッサーの能力は、ハイエンドのシステムの中で使われてもおかしくない水準が確保されているので、システム全体としてのポテンシャルは、純正オーディオとは比較にならないレベルにある。エントリースピーカーに交換した状態と比べても、別次元の音世界を堪能できるハズである…。

■ステレオイメージの再現性が高く、音の質感も至って上質。

実際に音を聴いてみると、期待以上の満足感が得られた。まずはAV一体型ナビをソースユニットとしてテストしたのだが、やはり実力プロセッサーをシステムに組み込む効果は絶大だ。ステレオイメージが、実に正しく再現されている。スピーカーから音が鳴っているという聴こえ方ではなく、ただただ目の前に演奏空間が広がっている。

パワーアンプの性能についても不満に感じる要素はない。サウンドの質感は高く、「FOCAL」一流の耳当たりの心地良さを十分に堪能することができた。『K2 Powerシリーズ』の魅力を、確実に表現できている、というわけだ。クリアさも申し分なく、音量の小さな楽器の音も、輪郭をくっきりと描き出せている。

さらには音に芯があり、密度感も高い。特に低域にそれを感じた。音が体を通過する、というよりも、体にぶつかってくるイメージだ。こういった味わいは、まさしく外部パワーアンプならではだ。『FPX 4.400 SQ』の実力を疑う余地はない。

また、単体プロセッサー+外部パワーアンプ+市販スピーカーというフルセットのバリューの大きさも再認識した。これらを一気に導入することで、純正状態と比べて音響環境は激変する。費用対効果は、相当に大きい。

なお、ソースユニットを『MM-1DT/6』に切り替えると、良さはさらに伸長した。音の鮮度が上がり、音楽の説得力も向上した。さすがはハイエンドユニットだ。格が違う。

さて、まとめである。この「トヨタ・G'sアクア」の音を確認してつくづく思うのは、「FOCAL」というブランドの懐の深さだ。同社に対して、“高嶺の華”というイメージを抱いている方も少なくないだろうが、実は「FOCAL」は、純正スピーカーからの置き換え用等のエントリーグレード、ミドルグレードの製品も充実している。今回クローズアップしたパワーアンプ『FPXシリーズ』も、その代表格の1つだ。手頃で使いやすく、そしてその割に高い満足感を確実に味わえる秀作だ。

実用度の高い魅力的なパワーアンプを探している方は、「FOCAL」の『FPXシリーズ』にご注目を。

《太田祥三》

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