運用益30億で事業規模130億円! 自賠責保険の被害者救済策、持続不可能の理由は財務省

自動車 社会 行政
財務省
財務省 全 2 枚 拡大写真

「今後の自動車損害賠償保障制度のあり方に係る懇談会」(あり方懇)が30日、都内で開催された。出席した委員から、交通事故の被害者救済制度の根幹が危ぶまれる、という指摘が相次いだ。

【画像全2枚】

交通事故は、まず自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)の保険金支払いで賠償されるが、このほかにも重い後遺障害が残る被害者の療養施設の設置や運営のほか、安全性能を評価する自動車アセスメントは、ユーザーの車選びにも役立っている。

前者は保険料の一部を保険金支払いに当てるが、後者の運用益事業は、過去にユーザーの保険料運用で生まれた利益を基金に、再運用した運用益が使われているはずだった。

ところが、国土交通省の運用益事業費は今年度は123億5000万円だが、得られる運用益は約30億円しかない。残り約100億円は原資となる基金を取り崩している。完全な支出超過だ。相原康伸委員(自動車総連会長)の指摘に、国交省保障制度参事官室はこれを認めた。

「来年すぐにというわけではないが、(基金の)取り崩しが毎年続いている。事故被害者団体からも危惧する意見が出ている」

原因は、23年前から始まった財務省(一般会計)への運用益の貸付だ。最初の約束は財務省は運用益から総額1兆1200億円を借り受け、1997年度までに全額を返済するはずだった。しかし、財政難を理由に返済は滞り、2003年以降は元本4848億円、利子相当額1321億円の合計6169億円の返済が止まったままだ。

本来の運用益事業は、国交省の手元(自動車安全特別会計)にある基金約2000億円と財務省が返済すべき6169億円を合わせた約8000億円を基金すべきものだ。基金を取り崩せば、当然運用はできない。財務省が借りたのは税金ではなく、自動車ユーザーの保険料から生まれた運用益だ。

桑山雄次委員(全国遷延性意識障害者・家族の会代表)は、こう訴えた。

「毎年、ほかの会といっしょに財務省に返してほしいと言うと、毎回、財務省は国の財政を話されてご理解がほしいと言う。ただ我々もこの財源が切れてしまうと事業を放棄せざるを得ない。返してもらうのは当たり前のことだ」【関連記事】
2. 自賠責保険---あり方懇談会の委員、財務省に申入れを要求する
3. 自賠責運用益6169億円、国交省への返済は?---予算の査定も握る財務省国土交通3係

《中島みなみ》

ピックアップ

レスポンス公式TikTok

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. FRは存続する! レクサス『IS』次期型、電動化でどう進化?
  2. ホンダ『シビックタイプR』仕様のアキレス『瞬足』が発売! 子どもたちの「速いものへの憧れ」を形に
  3. ドア&エアコン付きゴルフカート、国内初の100台規模導入…アコーディア・ゴルフとPGM
  4. ハンコック、ポルシェ『911カレラ』の純正タイヤとして初採用…Ventus S1 evo Z装着
  5. 古河ロックドリルの「ボルティンガー」、トミカに登場…9月19日発売
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 自動運転開発の分野で高まるNVIDIAとAWSの存在感、日本メーカーは中国のスピード感に対抗できるのか【AWS オートモーティブ AI イノベーション フォーラム】
  2. KYB、パワースポーツ車両向けEPSを米ポラリス社のオフロードビークルに展開
  3. 電動車は誰が最後まで面倒を見るのか…KPMGコンサルティング プリンシパル 轟木光 氏[インタビュー]
  4. 2107馬力のハイパーEV、リマック『ネヴェーラR』に「ファウンダーズエディション」…特別な顧客向けの10台は発表前に完売
  5. 東京ミッドタウン八重洲で配送ロボット4台の本格運用を開始
ランキングをもっと見る