【ニュル24時間】レース中にも進化見せた! スバル ディーラーメカニックの活躍

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【ニュル24時間】レース中にも進化見せた! スバル ディーラーメカニックの活躍
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「ニュルブルクリンク24時間耐久レース」に10年連続参戦したスバル STIチーム。その裏には、レースを支えた6名のディーラーメカニックがいた。

スバルは、ニュル24時間で唯一販売店のメカニックを現場に派遣しているワークスだ。今回のメンバーは、横井洋平さん(北海道)、原良多さん(福島)、佐々木一星さん(静岡)、内藤文さん(岐阜)、村居孝教さん(大阪)、宇都宮正紀さん(京都)。日本全国、約2700名のメカニックから選抜された。

厳しい状況にも適応、迅速な作業で貢献

スバルの90号車『WRX STI』は予選を3位で終えた。1位のアウディ89号車の『TT RS2』、TOYOTA GAZOO Racingの170号車レクサス『RC』を追う形だ。マシンの調整や気温・路面温度の高さへの対応に追われつつも、チームは一丸となって優勝を目指しグリッドについた。

大阪スバルの村居さんにスタート前の心境を訊くと「(予選終了時には)2位のトヨタさんと約4分の差がありました。ドライバーはタイムを10秒縮めるだけでもすごく大変。そこをフォローできるのは僕らのピットワークです。その作業を効率的に速く行えば勝てるのではないかという気持ちは持っています」と話した。

この時期のヨーロッパは陽が長い。日没を迎えたのは午後10時頃。レースは4分の1を消化。気温も下がり、マシンの状態も落ち着いてきた。ピットイン時は真剣な顔で作業に臨むが、その合間にチームテントで話し合うディーラーメカニックのメンバーたちは和気あいあいとした雰囲気だ。

「さっきチーフメカニックの方から、『君たちのおかげで3秒しかロスしてない』と言われました。迅速に作業することで、あまり遅れが出ていないということ。その積み重ねでこの後もやっていきたいです。ピット作業が終わる度に、『こうした方が良いよね』と皆で話していて、どんどんタイムが縮まってきている。最初はどぎまぎした部分もあるけど、今タイムを縮められているのはお互いに協力できているからだと思います。

それぞれの役割は決まっていますが、その中で一か所手詰まりになってしまった部分があれば違う人がフォローする、要らないものは引いてきてスペースを作る…そういったことをするだけでもピット作業がスムーズになって変わってくるんです」(村居さん)。

過酷な状況の中で頭と体をフルに使いチームに貢献するメカニックたち。その思いと努力はタイムにも反映されていた。テクニカルアドバイザーの辰巳英治氏も「彼らはこのレース中も成長している。始めと全然違って現場に適応しているし、作業も速くなった。若い人は大したもんだ」と語る。

朝方のアクシデント、そして悔しいラスト

しかし、約15時間が経過した午前6時頃、不運なアクシデントが「WRX STI」を襲う。別クラスのヒュンダイと接触し、マシン左側に大きなダメージを負った。メカニックは何とかピットに戻ったマシンを懸命に修復。再びコースに送り出した。終夜の作業、そこに予期せぬ事態。ディーラーメカニックもさぞ疲労困憊なのではないかと気を揉んだが、意外にも笑顔で会話するメンバーの姿が見られた。

「皆、10~15分ほどしか寝ていませんが元気です。アクシデントの際には少しバタバタとしましたが、今も走っているので大丈夫。残り4時間半あるので、まだまだわからない」(村居さん)。

外国人スタッフに英語で話しかけたが全然通じなかった、と笑い合う様子も微笑ましい。日常ではできない体験が、ここには溢れているのだ。

残念ながらマシンはその後コース上で出火し、リタイアとなった。レース後、各メンバーは下記のように語っている。

「なにしろ悔しかったなというのが素直な感想です。ニュルに選ばれたからといって、それがゴールではなく、まだまだ自分を伸ばせる場所があると痛感したので、今後も自分自身を磨いていろいろなことにチャレンジしていきたいです」(静岡スバル・佐々木さん)。

「一週間以上にわたる長いレースに挑んで、正直準備は万端ではなかったかもしれませんが、出来る限りのことはやれたと思います。チームは序盤苦しんでいましたが、夜になって結構いけそうな感じになってきました。ですから、あのアクシデントはとても残念ですね。ディーラーメカニックは全員力を出せたと思いますし、とてもよい経験になりました。今後ディーラーの仕事でも役にたつことはたくさんあったと思います。応援していただいたお客様には、これからのサービス業務でご恩をお返していきたいと思います」(岐阜スバル・内藤さん)。

「今は残念な思いしかないです。しかし、いろんな経験ができたので、仕事にも活かせると思います。 特にみんなで力を合わせてひとつのことに向かうというのは、とてもよいことだと感じました」(北海道スバル・横井さん)。

「三連覇というのは難しいものなんだな、と痛感しました。とても厳しい世界で、STIの方々がピットに張り付いて見ている中、勝負というものはいろんな要素に左右されるものだし、運もつきものかなと思いました。富士でのシェイクダウンからクルマをみせていただき、STIのみなさんの気持ちがこもっているクルマだということは伝わっていました。しかし、これはこれで自分の中では大変貴重な経験だと思います。今後うまくいかないこと厳しい時がやって来たら、この経験を思い出し前向きに考えたいと思います」(福島スバル・原さん)。

「(今の気持ちは)非常に悔しいです。燃えているマシンを見て、正直うるっと来ました。NBRは非常にしんどいですし、天候もずっと晴れだったので身体的にもきつかったです。でもこれをやってきたことは、自分自身にとってはかなり自信になりました。今後(ディーラーで)働く上でも、状況判断とかそういったところでも役立ちますし、諦めないという気持ちを今回学ばせていただきました」(京都スバル・宇都宮さん)。

「率直な感想は、とにかく悔しいです。リタイヤが決定的になった時に(ドライバーの)山内さんが僕らの元に握手しに来てくれた時は、その感情が溢れて涙が出そうでした。悔しくて、僕らの力でなにか避けられる方法はなかったのかって。STI チームの人々は本当に素晴らしい方々ばかりで技術力も高く、得ることは多かったです。スピードや確実性、そのほかいろんなものを学ばせていただき、僕にとっては相当勉強になりました。残念なことはありましたが、自分としてはこのプログラムに参加できて大変満足しています」( 大阪スバル・村居さん)。

悔しさは計り知れない。だが、彼らの得たものは大きいはずだ。夢見た舞台での稀有な体験。それが自身の仕事や後輩育成にどのような影響を与えるのか…。今後も、新たなフェーズに至ったディーラーメカニックたちの活躍に期待したい。

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《吉田 瑶子》

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