「出戻り人事に私自身もびっくり」…パナソニック 樋口専務が古巣に戻った理由

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パナソニックの樋口泰行専務役員
パナソニックの樋口泰行専務役員 全 1 枚 拡大写真

パナソニックの樋口泰行専務役員は6月19日、報道陣との記者懇談会を開いた。樋口専務は4月に設立された社内カンパニー「コネクティッドソリューションズ社」の社長も務めるが、“出戻り人事”で話題になった人物だ。

「出戻りや異例人事という報道もあるが、私自身もびっくりの人事である」と話す樋口専務は、1980年大阪大学工学部を卒業後、松下電器産業(現パナソニック)に入社。しかし、ハーバード大学経営大学院を卒業後の92年に同社を退社した。「海外留学という形で投資してもらったが、少し暴れたいという若気の至りもあり、大阪から東京に出て、主に外資系企業を転々とした」(樋口専務)。

92年にボストンコンサルティンググループ、94年アップルコンピュータ、97年コンパックコンピュータを経て、2003年に日本ヒューレット・パッカードの社長に就任。その後、05年にダイエー社長、07年に日本マイクロソフトへ移り、社長、会長を歴任し、17年4月にパナソニックの専務役員に就任した。

「外資系でやっているとかなり疲れる部分もあり、そろそろスローライフを送りたいと思っていたタイミングで今回の話をもらった。光栄な話であり、力になれるのであればと思ってお受けした」と樋口専務は説明し、こう続ける。

「日本の伝統的な企業で働いた経験があると、最後は日本の企業で働きたいと考えるケースが多いようだが、さまざまな理由でなかなかそうはいかない。そうした人たちにとって、1つの例になればいいという気持ちもある」

樋口専務が担当するコネクティッドソリューションズ社はB to B事業がメインで、その領域も航空、製造、エンターテイメント、流通、物流、パブリックと幅広い。その中には日本一や世界一の製品も少なくない。しかし、その強さをうまく生かし切れていない面がある。そこを外資系企業を経験した樋口専務になんとか克服してもらおうというわけだ。

そんな樋口専務が真っ先にあげるのが「変革」だ。「変革は私に与えられた役割のキーワードである。コネクティッドソリューションズ社は旧パナソニック電工および車載系部品を除いたパナソニックのB to B事業の集合体であり、そこに置いてしっかりとしたビジョンをつくり、変革の方向性を打ち出す」

同時にパナソニックの強みを活かした差別化に力を入れる。擦り合わせや組み合わせでの付加価値を重視し、ハードウェアだけでなく、ソフトウエアやサービス、ソリューションを組み合わせた提案を行っていくという。つまり、痒いところに手が届くといったような製品やサービスを総合的に提供していこうというわけだ。

「パナソニックには創業者から生き続けている社会貢献の気持ちやメンタリティがある。最後まで逃げない、販売した後も責任を持つといったパナソニックの企業姿勢を活かしたい。そこに生きる道があると信じている」

こう話す樋口専務がまず打ち出したのが、カンパニー本社機能を大阪から東京に移すこと。10月に実施されるが、新たなオフィスは完全にフリーアドレスで、各事業部やデザインセンター、イノベーションセンター、販売組織が融合したものになるそうだ。果たして樋口専務が描く変革が思うとおりに進めていけるのか、今後の一挙手一投足に目が離せなくなりそうだ。

《山田清志》

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