【独ボッシュ二輪技術説明会】スマホと電動スクーターが密に連携し、シェアサービスも200台規模で開始済み

モーターサイクル テクノロジー
ドイツ・ボックスベルグにて開催されたボッシュ2輪技術説明会。
ドイツ・ボックスベルグにて開催されたボッシュ2輪技術説明会。 全 52 枚 拡大写真

加速は力強いし、航続可能距離も1回の充電で100kmに達するというから、これならシティコミューターとして充分に機能しそうだ。ボッシュの電動スクーターを、ドイツ・ボックスベルグにあるテストコースで試乗させてもらった。

もちろんボッシュはサプライヤーだから、この車両が発売されるわけではない。バイクメーカーらに供給しているインホイールモーターやバッテリーユニットなどを体感するための特別な試乗車だ。

同社では電気駆動装置の促進に力を入れており、毎年、eモビリティ関連の技術開発のために約4億ユーロ(約494億円)の投資をしている。そのほとんどはバッテリーの研究開発に充てられ、将来のバッテリーセル技術の研究も進めている。

そしてボッシュが開発した電動スクーターの実用性の高さは、すでに自国でシェアリングサービスを付帯させて証明している。

ドイツでは自動車大手が積極的にカーシェアリング事業に参入しているが、ボッシュは電動スクーターを用いた個人向けの移動サービス『Coup(クープ)』を2016年8月よりベルリンでスタートし、およそ200台を導入している。

特に若い世代は、自家用車を持つことの必要性をあまり感じなくなってきていて、モビリティに対するニーズは変化しつつある。カーシェアリングは日本でも普及したが、ボッシュのクープはその2輪版というわけだ。

利用者はスマートフォンのアプリを通じて、最寄りにある電動スクーターを検索し予約でき、スマートフォンでキーロックを解除する。シート下のトランクにヘルメットと2つの予備バッテリーも入っていて、手軽に利用できる。

トランクを開けたり走行を始めると、ブルトゥース経由で車体と接続したスマートフォンを通じて利用車両の動きが管理され、料金は30分3ユーロ(約373円)、あるいは1日20ユーロ(約2487円)のどちらかが選べる。もちろん利用者が再充電について心配する必要はない。

今回、感心したのは電動スクーターそのものの性能が高いことだけでなく、スマートフォンと連動させたシステムを構築し、サービスの運用にまで到らせたボッシュの総合力だ。

大都市では交通渋滞が多く駐車スペースも足りないため、パーソナルモビリティへのニーズが高まるのは目に見えている。

広大なボッシュのテストコースを電動スクーターでノンビリ走りながら、近い将来、東京でもスマートフォンで予約した電動スクーターで移動する日が来るかもしれないと想像してみると、なんだかワクワクしてきて仕方がない。

その前に、もしベルリンに行くことがあれば、ぜひいちどクープを利用してみたい。


【独ボッシュ二輪技術説明会】
1. 前年比2割増しの売上高、20年までに10億ユーロに
2. 電話応対などスマホ操作がハンドルのスイッチで可能---ICCがスゴイ!
3. バイクとクルマとインフラをネットワーク化すれば事故の1/3は防げる
4. 旋回中もフルブレーキが可能…MSCの高い安全性を実感
5. 不安だった坂道での停止&発進を解消…VHCの恩恵は大きい
6. 二輪車用ABS進化の歴史と量産がますます加速する今後
7. スマートフォンと接続し、メーター画面上でアプリを操作協力:ボッシュ(技術説明会)

《青木タカオ》

モーターサイクルジャーナリスト 青木タカオ

バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク関連著書もある。

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