【インタビュー】中国市場、カウントされない地元モビリティが存在する…ルディ・フォン・マイスターZFアジアパシフィックプレジデント

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Rudi von Meister(ルディ・フォン・マイスター)ZFフリードリヒスハーフェンAGプレジデントアジアパシフィック
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ZFフリードリヒスハーフェンAGが催す『Vision Zero Vehicle』などの研究車両の試乗イベントに先立ち、ZFのアジアパシフィックを統括するルディ・フォン・マイスター氏に興味深い中国市場のこれからについてインタビューすることができた。

ルディ・フォン・マイスター氏の中国での経歴はデルファイオートモーティブの中国事業責任者として赴任した1993年に遡る。以来24年、中国における自動車ビジネスのエキスパートとして複数の企業で責任者を歴任するが2014年からはZFフリードリヒスハーフェンAGアジアパシフィックプレジデントとして、中国だけでなく日本や韓国、東南アジアを含む事業を統括する立場となる。名刺には“万如意”という中国名を記し、中国メディアとは中国語でコミュニケーションするセンスの持ち主だ。

---:ZFのビジョンZEROにeモビリティへの取り組みが掲げられている。中国政府が推し進める新エネルギー車政策下でZFが中国地元メーカーに対して果たす役割は?

ルディ氏:重要なテーマだ。今年上半期、1~6月の自動車販売台数に占める中国地元メーカーの割合は実に44%だった。中国の自動車が海外メーカーとの合弁企業で生産されるというイメージは過去になろうとしている。ZFは日本、欧州、米国のトラディショナルな自動車メーカーと違うポジションで新しい顧客と付き合ってゆかねばならないと考えている。日本に次いで、中国でも新しいテックセンターのオープンをしたばかり。今後は地元メーカーに対しての技術的なプレゼンテーションを上げてゆきたい。

例えばこれまでの自動車の製品サイクルは5~6年というペースで進化してきた。これからは中国のモバイルIT機器がそうであるように数ヶ月単位という製品サイクルになってゆくと考えている。そうした市場に合わせるためにも組織決定をスピーディに行えるようになるなど、ローカルに根ざしたオーソリティとして認められる存在になりたい。

---:中国市場でのマイクロモビリティの存在についてどう考えているか。

ルディ氏:最近、大都市ではなく、中国の田舎の町を訪れたときに感じたのは、ゴルフカートのような電気モビリティの浸透度が想像以上に高く、確実に次のステップに移行しつつあるということ。これらは自動車としての許可が必要でないため自動車販売台数としてカウントされていない。

また、若い世代が利用するモビリティについてもフォーカスが必要だ。若年層はもっとも事故で犠牲になる率が高く、これからは乗用車だけでなく、移動するすべてのモビリティで100%の安全性が求められるようになる。ZFが昨年提唱した“X2Safe”のようなクラウドを利用した技術がスタンダードになれば多くの命が救われるはずだ。

多くの提携企業とこのコンセプトを推し進めることでデファクトスタンダードのポジションを得ることができれば理想的だ。

---:中国におけるスタートアップとの提携は進めてゆくのでしょうか。

ルディ氏:中国でもスタートアップとの連携は重要。これはグローバルでの方針と同じく、ZFではスタートアップに対して工場を作る大金を投じるというよりも、提携によるバックアップやコラボレーションを重視する戦略で進めていく。


<Rudi von Meister(ルディ・フォン・マイスター)>

ZFフリードリヒスハーフェンAG
プレジデントアジアパシフィック

1957年8月1日生
学士号、米国ペンシルバニア州 ペンジルバニア大学 経営学修士(MBA)、米国ニューヨーク州 コロンビア大学 中国語研究、台湾スタンフォードセンター

1985~92年:米ゼネラルモータース及びゼネラルモータースヨーロッパ AG にて数々のポジションを歴任
1993年:デルファイ・オートモーティブ・システムズ社(中国・北京) 副社長兼最高中国事業責任者
2005年:ATカーニー社(米ミシガン州) 中国担当コンサルタント
2007年:フィアットグループ SpA イヴェコ商用車事業部 (中国南京) オペレーション担当ゼネラルマネージャー
2011年:ナビスター・コーポレーション(米イリノイ州) 中国・アジア担当プレジデント
2014年:ZF フリードリヒスハーフェン AG アジアパシフィックプレジデントに就任

《三浦和也》

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