【ボルボ V90 試乗】愛犬家にもお薦めしたい最高峰ワゴン…青山尚暉

試乗記 輸入車
ボルボV90 T6 AWD インスクリプション
ボルボV90 T6 AWD インスクリプション 全 19 枚 拡大写真

今、世界中のステーションワゴンの中で、もっともゆとりあるサイズ、ロングドライブでの安全性、疲労感の少なさでピカイチの存在が、ボルボ『V90 T6 AWDインスクリプション』だ。

ボルボとしては久しぶりの本格ステーションワゴンであり、これぞワゴンという伸びやかなボディーに積まれるパワーユニットは2リットル、直4ターボ+スーパーチャージャー、320psというもの。駆動方式は全天候型の4WDとなる。

全長4935×全幅1880mm×全高1475mm、ホイールベース2940mmの堂々としたサイズだけに、スカンジナビアテイストあふれるインテリアもゆったり。身長172cmのボク基準で運転席の背後に着座すれば、頭上に13cmはともかく、ひざ回り空間は25cmもある。

左右独立して温度調整可能な3か所(!)のエアコン吹き出し口を備えるV90の後席はたしかに特等席だが、前席はそれ以上のファーストクラス感覚だ。なにしろ運転席、オットマン付きの助手席両席に本格的な家庭用モミ玉式を思わせるエアー注入タイプのマッサージ機能を完備。ロングドライブでもこれなら快適、いや、癒されながらのクルージングを楽しめるわけだ。

分厚く高級なカーペットに覆われたラゲッジルームも素晴らしい。開口部地上高は約62cmと低く荷物の出し入れ、ペットの乗降が快適に行え、スペースも奥行約77cm、幅約106cmから、高さ約70cmとゆとりある空間だ。ラゲッジ用の各種アクセサリー類も充実し、とくにペット用のドッグゲートなどは、ボルボの考える車内でのペットの安全性を強く反映したもの。大型犬とドライブに出掛けるのに最高の1台でもある。

『XC90』に続き、ボルボの新世代プラットフォーム=SPA(スケーラブル・プロダクト・アーキテクチャー)を採用したV90の走行性能もまた、ファーストクラス感覚である。

20インチという超大径、偏平なタイヤを履いていても、乗り心地は重厚にして軽快。文句なしのフラットライドに終始するのだから驚きだ。

ドアを閉めた瞬間から得られるそこはかとない安心感、外界から完全に遮断されたかのような静粛性も大きな魅力。

動力性能は2リットルエンジンにして、1840~1850kgの車重に対して十分すぎるほど。ドライブモードがEcoモードでも、まるでより排気量の大きいNAエンジンのようなナチュラルで力強い、ウルトラスムーズな加速が味わえる。さらにダイナミックモードにセットすれば、スポーツワゴンと言える強烈な加速性能さえ手に入るのだ。

先進安全装備、運転支援システムはズバリ、世界最高レベル。パイロットアシストは前走車なしでも140km/hまで車線の中央を維持。ACC(アダプティブクルーズコントロール)によりステアリング操作にサポートが加わり、アクセル、ブレーキ操作なしで極めてリラックスしたクルージングが可能となる。

実際、東京~蓼科間の往復約500kmを走破した経験があるが、“マッサージ機能”もあって、疲れ知らずだった。もしボクがV90を所有したとしたら、マッサージのためにどこかへ出掛けたくなるに違いない。

もちろん、9インチ縦型高精細ディスプレーによるコンフォート、エンターテインメント機能も充実。SENSUS NAVIGATIONはボイスコントロールが基本で、走行中でも多くの機能を呼び出せ、実行できるから便利。ナビゲーション画面などに視線を動かす必要がないため、極めて安全だ。

そんなボルボV90は、「V90クロスカントリー」と並び、とくに愛犬とのドライブ旅行の機会が多い、大型犬の飼い主に最高のステーションワゴン。季節、天候に左右されず安心して出掛けられる4WDである点もドッグフレンドリー度を後押しする。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★
ペットフレンドリー度:★★★★★

青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフプロデューサー
自動車専門誌の編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に寄稿。自作測定器による1車30項目以上におよぶパッケージングデータは膨大。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイト、ペットとドライブ関連のテレビ番組、イベントも手がけ、犬との快適・安心自動車生活を提案するドッグライフプロデューサーの活動、自動車用ペットアクセサリーの企画・開発も行っている。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。ムック本「愛犬と乗るクルマ」(交通タイムス社刊)好評発売中。

《青山尚暉》

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