ポルシェ、WECやルマンの最前線LMP1クラスから撤退…2019年フォーミュラEに参戦

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ポルシェ919ハイブリッドは今季限りでWEC/ルマンから撤退する。
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28日、ルマン24時間レースを含む現在の世界耐久選手権(WEC)の最上位クラス「LMP1」にワークス参戦しているポルシェが、今シーズン限りでの撤退を決めた。2019年からフォーミュラEに参戦する。

今回の決定に関してポルシェは、フォーミュラE参戦に際しての移行措置的な意味合いが強い旨を表明。フォーミュラE自体は文字通りフォーミュラカーのEVレースだが、「この新しいモータースポーツ活動の方針は、たとえばピュアなGTカーでありながらフル電動スポーツカーである、ポルシェが現在開発中のミッションEに代表される経営方針『ポルシェ ストラテジー2025』に沿ったもの」としている。

ポルシェは2014年から「ポルシェ919 ハイブリッド」でルマンを含むWECの最前線に参入。先発メーカーのアウディ、トヨタとワークスバトルを展開しながら、15年にはルマンで17年ぶりの総合優勝を達成、翌16年も連覇した。15~16年のWECシリーズタイトル(ドライバー、マニュファクチャラーの2部門)も2年連続で獲得している。

アウディの撤退でトヨタとの最前線2強状態となった今年17年もルマンで勝って3連覇、歴代最多の総合優勝回数を19に伸ばした。WECのシリーズタイトル争いでも、第4戦終了時点で2部門とも首位。

LMP1担当副社長のフリッツ・エンツィンガーは、「何もないところからルマンに向けてチームを作ることは大きなチャレンジでした。この数年間で、私たちは信じられないほどの成功を収める優れたチームへと成長しました。これは我々が前へ進むための基礎となります。私はフォーミュラEでも高いレベルで戦えることを確信しています。モチベーションは高く、新しいチャレンジに興奮しています」とコメントしている。

ポルシェが19年から参戦するというフォーミュラEには、ドイツ系ビッグメーカーが(時期こそ異なるが)続々と新規参戦や参戦体制強化の意向を発表してきており、今後、大きな発展を見せることになりそうだ。

だがその反面、ポルシェが今季限りでの撤退を決めたことで、ルマン、WECの最前線における“戦線維持”に関しては動揺が広がることになるだろう。LMP1-H(ハイブリッド)マシンで戦う唯一のライバルを失ったトヨタはどんな判断をくだすのか、あるいはシリーズやレースを主催する側からレギュレーション改定やクラス再編等の大きな動きが出てくるのか。そのあたりは予断を許さない状況といえる。

なお、ポルシェは「GTカテゴリーの活動をさらに活発化させる」とも発表。「911 RSRによるルマン24時間およびWECとアメリカのIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権、その他の耐久レースにおけるGTカテゴリーへの参戦は継続する」としている。メーカーバトルという意味では、現状、ルマンやWECでもGTカテゴリー(LMGTE-Proクラス)の方が隆盛していきそうな雰囲気が強いのも事実だ。このあたりもLMP1-Hを含むLMP1クラスの今後の在り方に影響を与えてくるかもしれない。

今季のWECは9~11月に5戦が残っており、そのなかには第7戦富士(10月15日決勝)も含まれている。ポルシェ対トヨタの頂上対決を日本で見られる当面最後の機会ということになる。

《遠藤俊幸》

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