タクシー事前確定運賃の実証実験…配車アプリの普及が課題

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実証実験に参加する「全国タクシー」の配車アプリの入力画面
実証実験に参加する「全国タクシー」の配車アプリの入力画面 全 2 枚 拡大写真

「渋滞やメーターの動きを気にせずに、安心してタクシーに乗ることができるようになる」。石井啓一国土交通相も期待するタクシー事前確定運賃の実証実験が都内各所で始まった。

事前確定運賃は、配車アプリに乗車前に乗車場所と行先を入力。利用者はアプリが算出した運賃で、目的地まで行くことができる。実証実験は東京23区とその周辺の武蔵野市、三鷹市に限定して行われているが、本格運用では従来の時間距離併用運賃に加えて、全国のタクシー事業者で活用が見込まれている。

利用者とタクシー事業者の双方で普及の課題となるのが配車アプリだ。事前確定運賃は配車アプリが条件で、電話や無線では行わない。実証実験では4種類のアプリが採用されているだけだが、検索すると配車アプリは全国のタクシー事業者が、それぞれ独自に提供していることがわかる。地図検索に連動したものも提供されている。現状ではそれらすべてが事前確定運賃に対応するわけではなく、今後、タクシー事業者が適応するようにアプリを更新し、利用者がそれをスマートフォンなどに取り組むことが必要だ。

実証実験で最も重要になるのが、アプリが提示した運賃と実走運賃と比較して適正かどうかだ。実証実験で3000円以上の区間が条件となっているのは、それ以下の短い距離の利用では、時間距離併用運賃との差が大きくなってしまうことが考えられるからだ。アプリの信頼性を確保するための枠組みも考えなければならない。

8日の会見で石井氏は「導入が実現すると大都市部だけでなく、地方部でも多言語に対応した配車アプリの利便性が向上し、これを普及させていくことで訪日外国人が日本全国において快適に移動できるようになる」と、波及効果の一例をあげた。こうした利用が増えれば、「空車走行を減らし、生産性を向上させることにつながる」(石井氏)という目に見える効果が得られるというわけだ。

ただ、インバウンド効果を得るためには、さらに強力な後押しが必要だ。外国人が知らない地方のタクシー会社を選択するためには、タクシー以前にアプリの知名度が高くなければならない。地方のタクシー事業者にとって、それは本業とはほど遠い投資に見えてしまう。

《中島みなみ》

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